教本系・製作
 
■鉄塔の現地寸法調査に使用する測定器具・測量機器の紹介(No.75)
概要

日本国内には30万基を超える鉄塔が建設されている。

近年,これら鉄塔の経年劣化に伴う部材・ボルトの取替えや荷重条件の変更に伴う既設鉄塔の改造案件が増えている。

部材・ボルトの取替えには既設鉄塔の製作用データが必要であるが,ほとんどの場合は建設年月が古いなどの理由で製作用データが保管されていない。そのため,これらの製作用データは現地調査を行って取得する必要がある。

本稿では,現地調査の際に使用する測定器具や測量機器について紹介する。

 
■溶融亜鉛めっき実務概論(1) 「溶融亜鉛めっきの概要と適用例」(No.48)
概要

鋼構造物の防錆対策として溶融亜鉛めっきがある。溶融亜鉛めっきは耐食性に優れ,メンテナンスフリーの特徴を持つだけでなく,衝撃や摩擦などで剥離することも少なく,めっき後の塗装が可能である等の多くの利点があることから電力・通信・建築・土木の様々な分野で採用されている。

本号では溶融亜鉛めっきの概要と適用例を紹介する。次号以降では溶融亜鉛めっきに関する割れやひずみ等に対する注意事項,溶融亜鉛めっきの特性と作業に与える影響等についてシリーズで紹介する。


■溶融亜鉛めっきによる歪の対策方法について(No.42)
概要
 防錆処理の一つの方法である溶融亜鉛めっきは,優れた耐食性と経済性を持っている。この溶融亜鉛めっきは鋼部材を440〜450℃の溶融亜鉛中に浸漬し,鉄−亜鉛の合金層を形成することで,鉄を腐食から守る。
 溶融亜鉛に鋼部材を浸漬することで,溶接構造のような複雑な形状の構造物や鋼管の内面など,構造物全体に亜鉛を付着させることができる。
 しかし,構造物の設計や製作段階で溶融亜鉛めっきに対する配慮が足らないと,その寸法や形状等によっては品質や作業の安全性に大きな影響を及ぼす。これらの問題点を解決するための基本構造については,デンロ技報No.40「溶融亜鉛めっきの特徴を生かした鋼構造物の設計・構造」で既に述べているが,本稿では,特に注意が必要なポイントを確認しながら,不具合の発生事例を示すとともに歪みや変形への対策を示す。


■溶融亜鉛めっきの特徴を生かした鋼構造物の設計・構造(No.40)
概要
 優れた耐食性と経済性から鋼材の防食方法として広く用いられている溶融亜鉛めっきの処理方法は,鋼材を440〜450℃程度の温度で溶融した亜鉛に浸漬して行うため,溶接構造のような複雑な形状の構造物や鋼管の内面など構造物全面に亜鉛を付着させることができます。
 しかし,品物を処理槽に漬けるために設備能力により大きさや重量が制限されるほか,高温で比重が大きく粘度も比較的大きな溶融亜鉛に浸漬することにより処理を行うため,形状・寸法等が品質や作業の安全性に大きな影響を及ぼすことがあります。
 本稿では,このような制限の中で溶融亜鉛めっきの品質を確保するための構造について説明するとともに,例を示します。


■製作教本(その3)「山形鋼鉄塔の控ボルトの計算」(No.37)
概要
 鉄塔の骨組みは,多数の部材を接合することによって構成されています。部材が強くても接合部に弱点があると,接合部の耐力によって鉄塔全体の耐力が決まることもあるように、接合部は重要な箇所です。
 山形鋼鉄塔の接合部として一般的に使用されているガセットプレート構造では,部材の力をガセットプレートを経由して他の部材に伝えるため,応力伝達に必要な控えボルトをガセットプレートに設けることが必要です。
 今回は,送電用鉄塔を例に山形鋼鉄塔の控ボルトの算出方法を紹介します。



■製作教本(その2)「いかり材方式を採用した基礎材の定着計算」(No.33)
概要
 鉄塔の基礎は,上部荷重により圧縮力・引張力・水平力を受け,その応力は主脚材から基礎柱体部を 経て基礎床板部へ伝達され,基礎床板部から地面に伝わる。
 主脚材から床板部に応力を伝達する部分の強度検討を定着計算と呼び,その定着力が弱いと主脚材が 基礎体から抜け出してしまい,鉄塔倒壊の原因ともなる重要な部位である。
 今回は,送電鉄塔で一般的に採用されている基礎材の定着方法として,床板部内にいかり材を設けて 応力を伝達する「いかり材方式」の定着計算について紹介する。



■鋼管鉄塔の製作時検討(その1)「節点耐力検討」(No.32)
概要
 鋼管鉄塔に使用する鋼管部材に他の部材を接合する場合、形鋼のように直接ボルト接合はできない。その ため、標準的な方法として、鋼管にガセットプレートを溶接し、そのガセットプレートと他の部材とをボル トで接合する形式をとっている。この接合形式の場合、部材の応力がガセットプレートを介して、鋼管の管 壁に流れ、管壁に局部変形が生じる。したがって、接合部の形状を決定する時はこの局部変形に対して安全 であることを確かめる必要がある。また、ガセットプレートの溶接部についても強度検討が必要である。
 そこで、本報では、これらの節点部における鋼管の局部変形に対する強度検討方法や、ガセットプレート および補強プレートの溶接部の強度検討などの「節点耐力検討」について整理する。



■鉄塔・鉄構等鋼構造物の製造シリーズ 第8回「曲げ製品加工工場」(No.13)
概要
 今回は、鉄塔・鉄構等鋼構造物の製造シリーズ第8回目として、「曲げ製品加工工場」について述べる。
 一般に、金属加工技術は、塑性加工・鋳造・溶接・切削加工・構造組立などに分けて考えられる。その 中で塑性加工法は、金属素材の形状を塑性変形を利用して変化させる加工法で、同一製品を経済的に大量 生産する場合に適している。
 塑性加工法は、基本的な変形機構として加工中の応力形式によって、圧縮・引張・曲げ・ねじりの4種 類に分けられる。鉄塔・鉄構などでよく用いられる加工に曲げ加工があり、代表的な製品として以下のも のがある。
  板………U字プレート、溝形プレート、ガセットプレート、耐張プレート
  棒鋼……コ型金具、コ型ボルト、Uボルト
  形鋼……ベンド点主柱材、腕金主材、補助材、リング材
 今回は、金属加工技術の一つである塑性加工の内、板の曲げ加工を中心にそのメカニズム、加工時の注 意点などを実際の工程例を入れて紹介する。



■鉄塔・鉄構等鋼構造物の製造シリーズ 第7回「鉄塔用鍛造フランジ工場」(No.12)
概要
 今回は、鉄塔・鉄構等鋼構造物の製造シリーズ第7回目として、「鉄塔用・鍛造フランジ工場」について 述べます。
 かつて鋼管鉄塔の鋼管部継手は、リブ付板フランジが主流でした。しかし溶接の品質・施工性ならびに組 立時の作業性をより向上させるために、送電用鉄塔にリブなしフランジ方式が採用されて以来、特に鍛造製 フランジ(以下鍛造フランジという)が鋼管継手の主流を占めるようになりました。
 当初は主に主柱材継手に使用されていましたが、近年の鉄塔の大型化に伴い腹材継手にも使用されるケー スが増えています。
 また、送電用鉄塔のみならず通信用鉄塔にも採用されるようになり、今や鍛造フランジは鋼管鉄塔におけ る継手の中心的存在となっています。



■鉄塔・鉄構等鋼構造物の製造シリーズ 第6回「ボルト・ナット工場」(No.11)
概要
 今回は、鉄塔・鉄構等鋼構造物の製造シリーズ第6回目としまして「ボルト・ナット工場」について述べ ます。
 近年の送電用鉄塔は、遠隔地からの超高圧あるいは超々高圧による大容量送電に伴い、ますます大型化が進んでいます。これに対応して、使用されるボルト類もS S41,S S50,SWCHの普通鋼材に加えて、SCr440,SCM435等の高張力ボルト類もより多く使用されるようになり、ボルト類の品質保証が重要な課題となっています。



■鉄塔・鉄構等鋼構造物の製造シリーズ 第5回「鋼構造物の載荷試験場」(No.10)
概要
 今回は、鉄塔・鉄構等鋼構造物の製造シリーズ第5回目として、「鋼構造物の載荷試験場」について述べ ます。

 鋼造物の載荷試験場は実規模の鋼構造物全体あるいは一部分を供試体として設計荷重を載荷し、設計荷重と鋼構造物の変形や部材発生応力との関係を調べたり、荷重を増加させて鋼構造物を破壊し、その時の終局耐力と破壊状況を調べます。
 この試験を通じ、設計者は
 1) 荷重が載荷された時の鋼構造物の
   応力の挙動を実際に肌で感じとったり、
 2) 設計手法の不備な所を学んだり
 3) 力学上の新しい問題をみつけて
   新しい鋼構造物の設計へのチャレンジ
   精神を育て、新たなる闘志を燃えさせています。

 なお本シリーズは今までに
  第1回 デンロ技報No.6 「形鋼加工工場」
  第2回 デンロ技報No.7 「鋼管加工工場」
  第3回 デンロ技報No.8 「鋼板加工工場」
  第4回 デンロ技報No.9 「溶融亜鉛めっき工場」
 を掲載しました。



■鉄塔・鉄構等鋼構造物の製造シリーズ 第4回「溶融亜鉛めっき工場」(No.9)
概要
 今回は、鉄塔・鉄構等鋼構造物の製造シリーズ第4回目としまして、「溶融亜鉛めっき工場」について述 べます。
 溶融亜鉛めっきの最大の特徴は、メインテナンスフリーで耐食性が長い期間持続することにあり、近年 は、橋梁や建築関係でも採用される例が増えています。
 送電、通信用鉄塔等では、古くから採用されており、溶融亜鉛めっきの素晴らしさを身をもって示してい る鉄塔も数多くあります。
 この溶融亜鉛めっきの世界でも、取扱う品物が多様化、複雑化してきており、更に、めっきそのものに 要求されるグレードも以前とは比較にならない程厳しいものになっています。
 また、めっき作業についても、以前のような悪い環境での肉体労働から、自動化された近代的な職場へ と変わりつつあります。



■鉄塔・鉄構等鋼構造物の製造シリーズ 第3回「鋼板加工工場」(No.8)
概要
 今回は、鉄塔・鉄構等鋼構造物の製造シリーズ第3回目として、「鋼板加工工場」について述べます。
 送電用鉄塔や無線用鉄塔の大型化・多様化が進む中で溶接接合を主としたパイプ鉄塔が増えてきてい ることは、第2回目で紹介しましたとおりです。
 この溶接構造物の製作工程で、前工程に位置する鋼板加工では、その加工精度が後工程の品質・コス トを大きく左右しますので、品質確保がポイントになります。あわせて、生産性を向上させる観点から、 省力化・高能率化を目指した合理化が重要課題になっています。



■鉄塔・鉄構等鋼構造物の製造シリーズ 第2回「鋼管加工工場」(No.7)
概要
 今回は、鉄塔・鉄構等鋼構造物の製造シリーズ第2回目としまして、「鋼管加工工場」について述べ ます。
 送電容量あるいは情報通信の需要が増大するに伴い、送電用鉄塔や無線用鉄塔の大型化・多様化が進 む中で、従来のボルト接合を主としたアングル鉄塔に対し、溶接接合を主としたパイプ鉄塔が増えてき ています。
 特に、超高圧・超々高圧(UHV)用の鉄塔や大型の無線通信用鉄塔は、全てパイプ鉄塔といっても 過言ではありません。
 このパイプ鉄塔の製作においては、溶接施工が製作の主要工程を占めています。そのため、溶接部の 品質を保証することが重大な課題となり、その基本となる溶接施工管理が重要となります。



■鉄塔・鉄構等鋼構造物の製造シリーズ 第1回「形鋼加工工場」(No.6)
概要
 電力需要の増大、ニューメディアの発達や新しいエネルギー源の開発の進展にともない、現在使用さ れている鋼構造物の種類は多種多様にわたっています。例えば、電力を供給するための電線類を支持す る送電用鉄塔や屋外鉄構、無線通信回線に使用されるアンテナ類を支持する無線用鉄塔や架台、あるい は各種機器を支持したり、海上作業に供する架構等があります。またこれら構造物は立体トラス構造や 単柱形式の他様々な構造形式が使われております。この様に鉄塔・鉄構等鋼構造物には多くの種類・形 式がありますが、これを構成する個々の部材に分類すると
   形鋼を素材とする部材
   鋼管を素材とする部材
   鋼板を素材とする部材
にわけられ、これらがボルトあるいは溶接で結合されて構造物全体をつくっています。

 構造物を構成するそれぞれの部材の製作方法は、昭和40年代の終りに至るまで、百年一日、百年前と 同じ作り方をしていると云われ、設計、現寸の電算化、材料の進歩、使用鋼材の多様化、大型化、中で もボルト接合を主とした構造物から溶接を主としたパイプ構造物への変化と進む中で取り残された感が ありました。
 我社では、昭和47年から建設計画に入りました丸亀東工場において「旧態依然」からの脱皮に挑戦し、 鋼構造物の新しい製造方法の開発、導入に取組みました。
   従来の手作業は機械へ
   単発機は複合機ヘ
   マニュアル機はNC機、CNC機へ
   専用機はロボット化、FMS化へ
と進み、最近では、さらに、設計の電算化(CAD)から直接製造へ継ぐCAM化へと移りつつあり、今 後の研究をまたねばならないものもいまだ多々ありますが、大きな合理化の流れを作っております。

 今回からは鋼構造物を正確な精度で、効率よく製作する為の製作過程とその方法の紹介を行います。
 シリーズの後半では、鋼構造物の防錆処理方法である溶融亜鉛めっきと塗装、ならびに鋼構造物の耐 力を確認する実規模載荷試験についても御紹介します。
 掲載予定は、
   第1回   形鋼加工工場
   第2回   鋼管加工工場
   第3回   鋼板加工工場
   第4回   溶融亜鉛めっきと塗装工場
   第5回   実規模載荷試験場
を予定しており、今回はシリーズ第1回として「形鋼加工工場」について述べます。



■鋼構造物の製造方法の紹介の連載にあたって(No.5)
はじめに
電力需要の増大、ニューメディアの発達や新しいエネルギー源の開発の進展にともない、現在使用さ れている鋼構造物の種類は多種多様にわたっています。例えば、電力を供給するための電線類を支持す る送電用鉄塔や屋外鉄構、あるいは無線通信回線に使用されるアンテナ類を支持する無線用鉄塔や架台 等があり、立体トラス構造や単柱形式の他、様々な構造形式が使われています。
 このような鋼構造物の基本的な設計方法を、現在初級教本シリーズとして紹介していますが、さらに 今後は鋼構造物を正確な精度で、効率よく製作するための製作過程とその方法の紹介も連載する予定で す。

概要
 送電用鉄塔、無線用鉄塔、屋外鉄構、架台、等は通常形鋼、鋼管及び鋼板により構成されています。このよう な鋼構造物はほとんどの場合、一般の建物と異なり、構造部材は大気中に露出しているため有効な耐候性が要求 され、通常は溶融亜鉛めっきや塗装が施されます。
 また、鋼構造物の製作、施工を行う場合の経済性や信頼性を考慮して、接合部は溶融亜鉛めっきが施された普 通ボルトや溶接により構成されています。
 このような鋼構造物は図1に示すような製作過程で製作されます。図1に示すように、切断加工、熱間あるい は冷間曲げ加工、穴明け加工、溶接施工などの様々な過程があり、各製作過程ともに建物とは異なり、”ミリ単 位”の精度が要求されます。”ミリ単位”の加工精度を満足し、さらにより経済的に製作が行えるよう、全ての 製作過程では機械化が進められています。
 今度、連載する製造方法の紹介では、機械化された鋼構造物の製作過程を次の5つに分けて紹介してゆく予定 です。
 1.形鋼加工工場:写真1に示すように山形鋼を中心にした加工過程と加工方法の紹介を行います。
 2.鋼管加工工場:写真2に示すように鋼管の加工過程と加工方法の紹介を行います。
 3.鋼板加工工場:写真3に示すように鋼板の加工過程と加工方法の紹介を行います。
 4.溶融亜鉛めっきと塗装工場:写真4に示すように表面処理の過程とその方法の紹介を行います。
 5.鋼構造物の載荷試験場:写真5に示すように、実規模の試験体でも試験が行える載荷試験場の試験用設備 と試験方法の紹介を行います。