-
- ■「鉄塔の構造設計者のための強度に関する教本」シリーズ(その2)(No.75)
- 概要
-
当社では,社内の鉄塔構造設計者が知っておくべき強度に関する知識として,根拠やものの考え方をできるだけ分かりやすく解説した「鉄塔の構造設計者のための強度に関する教本」を作成した。
この教本が広く,鉄塔に携わる人々の参考となればと思い,教本の抜粋をシリーズで紹介しており,本号では,前号(No.74)に掲載した「その1」の続編の「その2」として,主に断面性能計算,単純梁と片持ち梁の応力計算およびたわみ計算について解説する。
-
- ■「鉄塔の構造設計者のための強度に関する教本」シリーズ(その1)(No.74)
- 概要
-
当社では社内の鉄塔構造設計者が知っておくべき強度に関する知識について,根拠やものの考え方をできるだけ分かりやすく解説した「鉄塔の構造設計者のための強度に関する教本」を作成した。
この教本が広く,鉄塔に携わる人々の参考となればと思い,抜粋をシリーズで紹介することとし,本報では,まず(その1)として,主に鋼材とその強度に関する部分を解説する。
-
- ■鉄塔用ボルトの変遷について(No.73)
- 概要
-
近年,腐食による既設鉄塔の部材・ボルトの取替えや荷重条件の変更などに伴う既設鉄塔の強度検討が増えている。既設鉄塔の強度検討を行う際には,鉄塔を構成する使用鋼材・ボルトの規格を把握しておくことが大切である。しかし,送電用支持物に鉄塔が使用された1907年(明治40年)から現在に至るまで鋼材・ボルトの規格は度重なる制定・改定が行われてきた。ボルトの規格だけに着目しても,「ウイットねじからメートルねじへの変更」,「棒鋼の材料規格から製品規格への変更」,「送電鉄塔の大型化」,「ボルトの製造技術の進歩」などに伴い制定・改定が行われてきた。
そこで本稿では,主に送電鉄塔用ボルトの変遷について紹介し,併せて通信鉄塔用ボルトの種類,既設鉄塔改造時の留意点を紹介する。
-
- ■塔状鋼構造物に関する2つの基準類による強度の比較(No.73)
- 概要
-
塔状鋼構造物を大別すると,送電鉄塔と通信鉄塔に分類できる。これらのうち,送電鉄塔に関連する法令や基準には,「電気事業法」「電気設備に関する技術基準を定める省令」とそれに基づいた「電気設備の技術基準の解釈・解説」がある。一方で,通信鉄塔に関連する法令や基準には,「建築基準法」とそれに基づいた「建築基準法施行令」,「建築基準法等に基づく告示」および「鋼構造許容応力度設計規準」がある。
これらの基準類について,過去のデンロ技報No.02-4,03-5「塔状鋼構造物の各種設計基準の対比」で紹介したが,その後に改定された内容がある。前稿では,この改定内容も反映した現行基準のうち,荷重に着目した内容を紹介した。
本稿では,前稿に続いて強度に関する現行基準について整理する。
-
- ■電技および電技解釈改正の概要(No.72)
- 概要
-
2019年9月に関東地方に上陸した台風15号による被害を受け,経済産業省のもとに「令和元年台風15号における鉄塔および電柱の損壊事故調査検討ワーキンググループ」が設置され,調査や協議が行われた。これらの調査や学術的検討などの結果を踏まえて,2020年5月13日付けで電気設備に関する技術基準(以下,「電技」と呼ぶ)を定める省令と電気設備の技術基準の解釈(以下,「電技解釈」と呼ぶ)が一部改正され,その後,2020年8月12日付けで「電技解釈」が一部改正された。
過去にも台風による鉄塔損壊事故の発生が「電技」改正のきっかけとなり,改正を重ね,現在に至っているが,風荷重の考え方の変化により送電用鉄塔の設計手法にも影響を及ぼしてきた。
本稿では,過去の「電技」および「電技解釈」における風荷重の変遷や,今回の「電技」および「電技解釈」改正に至る経緯を整理するとともに,今後の送電用鉄塔の設計風速の採用に関する留意点について概要を紹介する。
なお,鉄柱の内容についても同時に改正されたが,本稿での紹介は割愛する。
-
- ■塔状鋼構造物に関する2つの基準類による荷重の比較(No.72)
- 概要
-
塔状鋼構造物には,大きく分けて,電力会社の送電鉄塔・通信鉄塔と電力会社以外の通信鉄塔がある。
これらに関わる法令や基準として,前者は「電気事業法」「電気設備に関する技術基準を定める省令」とそれに基づいた「電気設備の技術基準の解釈・解説」があり,後者は「建築基準法」とそれに基づいた「建築基準法施行令」,「建築基準法等に基づく告示」および「鋼構造許容応力度設計規準」がある。
これらの基準類について,過去のデンロ技報No.02-4,03-5「塔状鋼構造物の各種設計基準の対比」で紹介したが,その後の改正や改定により内容が変更されている。
また,電力会社向けの送電鉄塔に対する電気学会規格JEC-127-1979送電用支持物標準は等価静的手法を採り入れ大幅な改正が行われようとしている。さらに,2019年の台風15号においては,特殊地形による風の増幅により鉄塔が倒壊したため,特殊地域の風荷重が見直されている。
そこで本報告では,法律に関する現行基準の荷重について整理する。
-
- ■鉄塔の現場スケッチについて(No.71)
- 概要
-
近年,既設鉄塔の高経年化に伴う部材の取替えや荷重条件の変更等に伴う既設鉄塔改造の依頼が増えている。また,自然災害等による鉄塔部材の損傷に対し,復旧のための仮設部材製作が緊急に必要になることもある。しかし,これらの部材の製作に必要な既設鉄塔の製作データがないために,既設鉄塔の現場スケッチ作業が必要となる場合が多い。
これらの現場スケッチ作業は高所作業が伴う上に,数ミリの測定誤差で改造用部材が取り付かないことがあるなど,安全や品質面では難易度の高い作業である。
その上,社会インフラとして電力の安定供給など重要な役割を担っている鉄塔の健全性を維持していくために,欠かせない作業である。
そこで本稿は,現場スケッチに関し,主として精度よく測定するための作業手順や留意点について紹介する。鉄塔の現場スケッチ作業の安全,品質,そして効率面の向上に資することができれば幸いである。
-
- ■トラス構造におけるクレモナ図解法について(No.70)
- 概要
-
トラス構造の節点に注目し,その節点に作用する力のつり合いから2次元の応力図を描くことで部材軸力を求める解法をクレモナ図解法と呼ぶ。この解法はトラス構造を採用する鉄塔で広く用いられてきた。
不同変位に対する応力解析や特殊構造の鉄塔設計には,3次元での力のつり合いだけでなく,変位のつり合いも考慮した立体解析が使用されることもあるが,通常の鉄塔設計には,今もクレモナ図解法による平面解析が一般的である。
そこで,本稿では新人の鉄塔設計者を対象として鉄塔の応力解法についての理解を深めるために,以下を紹介する。
- 一般的なトラス構造の応力解法
- 鉄塔塔体部のクレモナ図解法
- 鉄塔腕金部のクレモナ図解法
-
- ■道路橋示方書の改定内容について(No.68)
- 概要
-
「橋・高架の道路等の技術基準」(道路橋示方書)は,技術的な知見や社会的な情勢の変化等を踏まえて,平成29年版において大幅な改定が行われた。
主な改訂内容は以下のとおりである。
- 1)多様な構造や新材料に対応する設計手法の導入
- 2)長寿命化を合理的に実現するための規定の充実
そこで,本稿では,主にこれらの改定内容について抜粋して紹介する。
-
- ■JIS C 8955:2017「太陽電池アレイ用支持物の設計用荷重算出方法」の改正内容について(No.65)
- 概要
-
JIS C 8955:2011「太陽電池アレイ用支持物設計標準」は2017年3月に「太陽電池アレイ用支持物の設計荷重算出方法」として内容が大幅に変更された。主な変更点を以下に示す。
- (1)“許容応力度設計”のための設計用荷重算出方法であることが明記された
- (2)風圧荷重に関し,地表面粗度の区分方法とアレイ面の風力係数が見直された
- (3)積雪荷重に関し,勾配係数1.0が基本となった
- (4)地震荷重に関し,設計用水平震度が見直された
- (5)自由な材料選びを可能にするため,材料およびその許容応力度についての規定は削除された
以上のように,今回の改正では,かなり広範囲にわたって内容が変更されている。
そこで,本稿では,これらの改正内容を整理するとともに,改正に至った背景に関しても簡単に補足することとした。
-
- ■送電用鉄塔設計標準(JEC-TR-00007-2015)改正内容の紹介(No.63)
- 概要
-
2015年2月に制定された『送電用鉄塔設計標準(JEC-TR-00007-2015:以下 TRという)』の概要を紹介する。
TRは,『送電支持物設計標準(JEC-127-1979)』の改正(案)として制定されたものである。
今回制定されたTRの特徴は,国際規格ならびに建築・土木分野との整合,および最新の試験データなどを取り入れたことである。
今回の主な改正項目を以下に示す。
- @ 限界状態設計法の導入
- A 平成3年の台風19号による鉄塔損壊に鑑みて取りまとめられた『送電用鉄塔の風荷重指針・同解説(電力中央研究所,2006年2月)』の反映
- B 地震荷重に対する設計方法の反映
- C 送電用鉄塔基礎の多様化に伴う地盤調査,設計に関する最新知見の反映
- D 過去の自然災害などにおける送電用鉄塔基礎の運用経験の反映
-
- ■建築物荷重指針(第5版)改定内容の紹介(No.62)
- 概要
-
2015年2月に第5版が刊行された『建築物荷重指針・同解説』の紹介を行います。
今回の改定の特徴は,現在の構造設計に合わせた改定,津波荷重と衝撃荷重という新しい荷重への対応,東日本大震災の被害からの教訓なども組み入れた改定が行われたことです。
主な改定項目としては,東日本大震災の教訓を踏まえて,
- @建物性能にロバスト性を追加
- A偶発荷重の考え方の導入
- B津波荷重の章新設
- C衝撃荷重の章新設
などがあります。
-
- ■太陽電池アレイ用支持物に作用する荷重の考え方について(No.57)
- 概要
-
近年,太陽光,太陽熱,水力,風力,バイオマス,地熱などの再生可能エネルギーに注目が集まってきているが,それらの中でも,特に太陽光発電はそのコストパフォーマンスの関係から,2012年度は予想以上に普及が進んだと言われている。
太陽光発電には太陽電池モジュール(太陽光発電パネル)が必要であり,更に,その太陽電池モジュールが複数組み合わさった太陽電池アレイを支えるための支持物(支持柱や架台など)も必要になる。また,この支持物は太陽電池アレイに作用する様々な荷重に対して安全でなければならない。しかし,かつては太陽電池アレイ用支持物の設計にそのまま適用できる規準がなく,建築基準法および同施行令,あるいは電気設備に関する技術基準などが準用されていた。そのため,2004年に一般社団法人日本規格協会が「太陽電池アレイ用支持物設計標準」をJIS C 8955として制定し,2011年にこれが改正されている。
そこで,本稿では,「JIS C 8955:2011 太陽電池アレイ用支持物設計標準」を参考に,この支持物の安全性を確認する上での荷重の考え方について紹介する。
-
- ■鉄塔用基礎のための地盤調査について(No.55)
- 概要
-
鉄塔を安全に建設して運用するには,健全な鉄塔と安定した基礎が必要である。安定した基礎を構築するためには良質な支持層に基礎を支持させる必要があるが,通常の状態では地盤内部の状況を確認することはできない。地盤の状況を確実に把握するためには,適切な地盤調査を行って,得られたデータを数値化して,耐力の算出や地盤状態を評価する必要がある。
平成23年に発生した東北地方太平洋沖地震では,地盤状況の評価が適切でないために地盤が液状化して傾いた住宅が発生する被害が多数生じた。そのような被害を生じさせないためにも,地盤に対する各種試験方法や特徴などを熟知して地盤の評価を行っていく必要がある。
また,事前調査を十分に行えば,各種資料から試験結果の妥当性を評価することも可能となる。
本稿では,主に,2009年に第二次改定がなされた日本建築学会の「建築基礎設計のための地盤調査計画指針」を参考に,鉄塔に用いる基礎の設計・施工のための地盤調査について紹介する。
-
- ■鉄塔の柱脚部の設計・施工について(No.51)
- 概要
-
1995年1月に発生した兵庫県南部地震では,建築物に多くの被害が生じた。当時の建設省がその原因調査を実施したところ,「新耐震法で設計されていない既存不適格建築物の存在」,「施工不良の建築物の存在」,「塑性変形能力の乏しい材料を使用した建築物の存在」等が明らかとなった。また,建築物の被害の中にはその土台となる柱脚部の損傷も見られた。
柱脚部は,上部構造物を基礎と固定し,上部からの応力を基礎に伝える非常に重要な部位であり,鉄塔においても同様である。
そこで,鉄塔における柱脚部に関し,その設計から施工までの流れについて,山形鋼鉄塔を例に紹介する。