製作・工事
 
■福島県あづま陸上競技場照明設置鉄塔の設計・製作・工事報告(No.75)
概要

2022年3月に,福島県あづま総合運動公園内にある県営あづま陸上競技場(愛称;とうほう・みんなのスタジアム)に照明設備が増設された。

この陸上競技場は,1993年度に完成し収容人員21,000人・日本陸上競技連盟第1種公認・世界陸連クラス2認証の施設であり,プロサッカーチームである福島ユナイテッドFCのホームスタジアムとして使用されるなど,多くの人々がスポーツに取り組むとともに,イベントなどで利用する施設である。

その施設に照明設備を増設することで,夜間でもスポーツなどに取り組むことができる環境が整備された。

照明設備は最新の高効率機器および省エネルギー技術が採用されている。

当社はこの照明設備を搭載する照明鉄塔4基の設計,製作および建方工事を担当したので,それらの概要を紹介する。

 
■新居浜市消防防災合同庁舎屋上鉄塔の設計・製作・工事報告(No.72)
概要

新居浜市殿では,新居浜市一宮町に新たな防災拠点として新居浜市消防防災合同庁舎を建設した。この合同庁舎は地上6階建てで,直下型地震や南海トラフなど大震災クラスの地震にも耐えうる基礎免震構造を採用している。また,防災拠点として,屋上には無線通信用鉄塔を設置し,災害時・非常時の通信機能を強化している。

当社は,この無線通信用鉄塔の設計,製作および建方工事を担当したので,その概要を紹介する。

 
■飛騨信濃直流幹線送電用鉄塔における構造改善事例の紹介(No.70)
概要

現在,日本の送電線路のほとんどは交流送電方式で,その交流の周波数は東日本と西日本で異なる。東西で交流のまま電力を融通し合うには周波数の変換設備が必要となるが,既存の周波数変換所では変換容量が不足していた。

そこで,東西連系の強化を目的に,東京電力パワーグリッド株式会社殿は,岐阜県高山市の中部電力株式会社殿が新設する飛騨変換所と長野県東筑摩郡朝日村の東京電力パワーグリッド株式会社殿の新信濃変電所との間に,送電線路を建設することとした。

当線路の建設条件に対し,交流にした場合の「周波数変換設備の増設」と直流にした場合の「交直変換設備分散配置」の工事費用が同等であることと,直流にした場合は鉄塔が小型化できることなどから直流送電方式が採用された。

飛騨信濃直流幹線と名付けられた当線路は,直流200kVで,亘長89km,197基の山形鋼鉄塔からなり,当社はこのうち138基の鉄塔製作を行った。当線路は岐阜県と長野県の県境の山岳地を越えるルートであり,鉄塔建設地には積雪地帯や希少猛禽類の繁殖地が含まれている。そのため,1年のうち鉄塔の組立ができる期間が短く,鉄塔組立の短縮や施工性向上が要求される工事であった。

本稿では,飛騨信濃直流幹線の鉄塔について,製作および組立の短縮や施工性向上を図るために行った構造改善事例の概要を紹介する。

 
■トンガ王国向け可倒式風力発電設備タワーの設計,製作,工事報告(No.70)
概要

トンガ王国はエネルギー資源に乏しく,化石燃料を海外から輸入依存している。そのため,国際的な石油価格の変動要因の影響を大きく受ける。トンガ政府は多様なエネルギー源を確保し,安定的な電力供給を実現するため,2020年までに電力供給の50%を再生可能エネルギーで賄うことを目標としている。

そこで,再生可能エネルギーの導入促進と電力供給源の多様化を図るため,沖縄電力株式会社殿で採用している可倒式風力発電設備を建設することになった。この建設工事は,日本政府によるトンガ王国向けODA(政府開発援助)の無償資金協力案件として,西澤(株)・(株)プログレッシブエナジーJVが受注し,ブレードやナセルを支持するタワーの設計・製作を(株)デンロコーポレーションが行った。 本タワーの特徴は次のとおりである。

  • @ サイクロン時は風車を倒して強風を避けることが可能である。
  • A 建設や傾倒に大型クレーンが不要であり,保守管理も風車を倒した状態で行うことが可能で,足場などが不要である。
  • B タワーの形状がトラス構造であり,シンプルで軽量であるため製造コストを低減できる。

上記の特徴を有する本タワーは可動部があるため,通常のタワーにはない部材や倒した状態で施工後立上げるなど,通常のタワーとは異なる。その内容を紹介する。

 
■香取線No.9鉄塔の設計・製作報告(No.69)
概要

東京電力パワーグリッド株式会社殿は,茨城県内の石炭火力発電所新設に伴い,基幹系統へ接続する架空送電線建設工事を行った。

この建設工事では,石炭火力発電所から香取線までを結ぶ鹿島パワー線鉄塔14基と鹿島パワー線とつながる香取線No.9鉄塔が新設された。

特に,香取線No.9鉄塔は他の送電線も1箇所に集結する位置に建設され,鹿島パワー線(275kV),香取線(275kV),仮鹿島線(275kV),仮船津線(66kV)の4線路を搭載した多回線鉄塔である。その鉄塔高さは139m,鉄塔重量は790tonもあり,UHV鉄塔以来の近年にない超大型送電用鉄塔であった。

当社はこれらのうち,鹿島パワー線鉄塔14基の設計,10基の製作と香取線No.9鉄塔1基の設計・製作を行った。

本稿では,この多回線大型送電用鉄塔の香取線No.9鉄塔について設計・製作の概要を紹介する。

 
■札幌競馬場パトロールタワーの設計・製作・工事報告(No.68)
概要

一般に,競馬場の各コーナーには1〜2箇所のパトロールタワーが設置されている。パトロールタワーは競走馬の競走中に違反がなかったかどうかを監視員が監視するために設けられている。加えて,カメラや照明が設置されており,監視用の撮影も塔上から行われている。

札幌競馬場のパトロールタワーは部屋が2階構造になっており,1階は係員が目視監視をするための部屋(監視室)であり,2階が監視用の撮影装置を設けた部屋(パトロール室)となっている。

今回,札幌競馬場のパトロールタワー3基を更新のために建て替えることになった。当社で鉄骨部分の設計,製作および建方工事を担当したので,その概要を紹介する。

 
■東邦ガス株式会社本社新北館無線通信用鉄塔製作および工事報告(No.67)
概要

東邦ガス株式会社殿は,名古屋市熱田区の本社敷地内に新たな防災拠点ビルを建設した。そのビルは地上7階建てで,5種類の免震装置を備えており,震度6強〜7の地震に耐えられる。また,防災拠点として,屋上には無線通信用鉄塔を設置し,緊急時の通信機能を強化している。

この無線通信用鉄塔の製作を当社が請け負い,製作および工事を実施したので,その概要を紹介する。

 
■山岳地における超高圧送電用鉄塔の不同変位対策工事(No.67)
概要

架空送電線路は,発電所と変電所間あるいは変電所間を結ぶ途中で急峻な山岳地や豪雪地帯を通過せざるを得ない場合がある。そのような場所において発生しやすい予期せぬ自然災害に対しても安全の確保,被害軽減,迅速な復旧対応などが電力の安定供給の使命から不可欠である。

しかし,近年,「地球規模での気候変動の影響と思われる豪雨,豪雪,突風」あるいは「地殻変動の活動期に入ったと言われ頻発する地震や火山活動」など日本列島における自然災害リスクは高まっていると思われる。

そのような状況の中で2016年12月末に,500kV重要幹線路の鉄塔の点検で,山間部の斜面に建つ1基の鉄塔において,曲げ点位置断面材を含む多くの部材やボルトに損傷が発見された。

原因を調査したところ,4脚中1脚の基礎が約140mmも沈下(不同変位)しており,鉄塔の応力解析結果から,これによる付加応力の影響であることが判った。

この鉄塔は標高1000m近い峻険な山岳地の尾根部に立地していることや重要幹線路で長時間の停電を要する鉄塔の建替えは容易にはできないことから,これまで500kV超高圧送電用鉄塔でも多くの実績があるジャッキアップ工法による改修工事を行うことが検討された。

しかし,解析で算出された付加応力の大きさから,既存のジャッキアップ装置では載荷能力が大幅に不足していた。これを同じ機構で単純に能力を拡大させただけでは,施工環境の厳しい当現場への運搬や取り付けが困難なため,新たな発想を取り入れ,載荷能力を満たした上で,できるだけコンパクトにした新型のジャッキアップ装置を開発した。さらに,事前に工場で装置の能力や施工性の確認試験を行い,現場での工事が安全かつ確実に行えることを確認した上で,現場へ投入し,不同変位対策工事を行った。

工事は例年の台風シーズン終了から降雪期に入る前の限られた期間内で計画されたが,例年になく晩秋に二度の台風が襲来したり,その翌週には吹雪に見舞われるなどの予想外の施工環境となった。しかし,関係者一同が万全の態勢で臨み,所定量のジャッキアップを安全かつ計画通りに行い,鉄塔の健全性を回復させることができた。

本稿では,その工事概要を報告する。

 
■矩形鉄塔の腐食桁材取替え工法の紹介(No.66)
概要

66kV4回線装柱の矩形鉄塔である柿崎線No.48,No.49鉄塔の桁部では,経年による部材の腐食が生じており,その対策として部材取替えが必要となった。その桁材の取替え時には補強が必要であり,また,狭線間であるため,電線を仮預けする仮腕金の設置工事が必要であった。

これまで,矩形鉄塔の桁材取替えについては施工実績がなく,取替え工法も確立されていなかった。

そこで,今回,矩形鉄塔の桁材取替え工法を開発し,当該鉄塔2基の桁材取替え工事に採用したので,その工法および工事の概要について紹介する。

 
関西電力株式会社殿向MC鋼管えぼし鉄塔の製作報告(No.66)
概要

送電用鉄塔の多くは,塔体の断面形状が下部から頂部まで正方形の「四角鉄塔」で,回線ごとの電力線は縦方向に配列されている。

一方,着氷雪時のギャロッピング現象やスリートジャンプ現象による上下電線の挙動による短絡が懸念される山間部においては,電線を水平に配列した「えぼし鉄塔」が採用される場合がある。その「えぼし鉄塔」の主要構成材は山形鋼とすることが一般的であるが,稀に,山形鋼の市販性のある最大サイズを越える場合は鋼管を主要構成材とした「えぼし鉄塔」を採用することがある。

当社では,2015年に関西電力株式会社殿向けにMC鋼管を主要鋼材とし,水平材をアングル化構造とした「えぼし鉄塔」の製作を約30年ぶりに行う機会を得たので,その記録や技術伝承として本稿にまとめた。また,関西電力株式会社殿から当該鉄塔の施工資料のご提供等により記載内容を充実させ,工事記録とした。

 
■スクリュー杭基礎方式太陽電池アレイ架台の設計,施工報告(No.64)
概要

環境省の「平成26年度2050年再生可能エネルギー等分散型エネルギー普及可能性検証検討委託業務報告書」によると,2030年迄の我が国の総発電量に占める再生可能エネルギー(太陽光,太陽熱,水力,風力,バイオマス,地熱など)の割合は,『再生可能エネルギーによる発電電力量の見通し』のとおり2030年は2010年実績の4倍強にまで増える予想となっている。 その一方で,太陽光に関しては固定価格買取単価引き下げ等も影響し, 『太陽光発電導入量試算』のとおり,2017年をピークに急激に減少する予想となっている。

太陽光発電による電力の買取価格(10kW以上)が平成24年度の40円/kWhに比べ平成28年度には24円/kWhに下がっており,益々建設費の低廉化が求められている。

そこで今回,その要請に応えて従来のコンクリート基礎を用いた構造に代えて,スクリュー杭基礎方式を採用することとし,その引抜き試験を行い,信頼性を確認した。その試験概要も含め,当該太陽電池アレイ架台の設計・製作・施工について紹介する。

 
■東武ワールドスクウェア台北101展示物鉄塔設計,製作および工事報告(No.64)
概要

東武ワールドスクウェア株式会社様が管理・運営されている東武ワールドスクウェア(栃木県日光市)の場内に,台湾のランドマークである超高層ビル「台北101(台湾台北市,高さ509.2m,地上101階)」を25分の1の縮尺で再現した構造物が建設され,2015年10月から展示されている。

東武ワールドスクウェアは世界の有名建築物や遺跡を25分の1の縮尺で精巧に再現した世界建築博物館ともいえるテーマパークであり,園内には46の世界遺産を含む世界の有名建築物や遺跡のミニチュアが102点ある。その中には,当社で設計・製作・工事に携わった東京スカイツリー(約26m)と,その東京スカイツリーに次ぐ高さとなる「台北101」(約21m)がある。

その「台北101」の展示物の建設工事を元請会社の東武建設株式会社様から当社が請け負い,設計・製作・施工(外装パネル除く)を担当したので,その工事の概要(構造・工場製作・現地建方)を紹介する。

 
■フェーズドアレイレーダー気象観測用鋼管鉄塔の製作報告(No.63)
概要

近年,局地的大雨(ゲリラ豪雨)や竜巻が多発し,社会問題となっている。

その現象を事前に察知するためには,レーダーで大気中の降水分布を観測することが有効である。最近ではXバンドレーダーなども整備されてきているが,さらに短時間で詳細に降水分布の3次元構造を観測することのできるフェーズドアレイ気象レーダーを設置して気象観測を行い,そこから得られたデータを有効活用することで災害を予防することが期待されている。

本件は,茨城県つくば市にある気象庁気象研究所が気象に関する研究に対して,安定した研究観測を実施することを目的として設置されたフェーズドアレイ気象レーダー用鉄塔であり,その大きさは10m(幅)×10m(奥行)×40m(高さ),重量約150tの鋼構造工作物(鋼管鉄塔)である。

この鉄塔の製作を当社が請負ったので,その設計内容や製作について紹介する。

 
■SBM大宮ネットワークセンター鉄塔 設計,製作および工事報告(No.60)
概要

ソフトバンクモバイル株式会社殿は,埼玉県さいたま市大宮区に通信インフラ施設として,ビル屋上にマイクロ波通信鉄塔を有する「大宮ネットワークセンター」を建設した。当該エリアは自然災害のリスクが低いことから,通信インフラ施設やデータセンターなどの進出が相次いでおり,首都圏の広域防災拠点となっている。

本施設のビル屋上に建設した通信鉄塔は,鉄塔高40m,質量約70tonの四角断面パイプトラス構造で,部材表面には昼間障害標識のための赤白塗装が施されている。

本鉄塔の建設工事では,ビル建築工事,電気工事,設備工事などの他の工事と工事期間が重なっていたため,クレーンなどの重機を占有使用することができず,工程調整に細心の注意を払って工事を行った。また,建設現場は正面が大通り,側面が公園に面したビルの屋上に位置しているため作業時の災害防止にも細心の注意を払う必要があった。

本稿では,当社が携わった鉄塔の設計・製作および工事の概要を紹介する。

 
■新石垣空港カウンターポイズの製作,施工報告(No.59)
概要

旧石垣空港は当時海軍飛行場として建設されたもので滑走路の長さが短く,以下のような問題を抱えていた。

  • 1)扱える旅客数,貨物数が少ないため,島の産業,観光の発展に支障をきたす
  • 2)長距離便が離着陸できず東京,大阪など大都市からの直行便を増便しにくい
  • 3)空港周辺の市街化が進み,騒音問題などで学校の運営に影響が生じるようになった

このため,沖縄県は2,000m級の滑走路を有する新石垣空港の建設を決定した。

これに伴い,国土交通省大阪航空局は新空港に必要な航空保安無線施設を整備することとし,今回,その無線設備の一部であるVORカウンターポイズの建設工事を当社が請け負い,製作,施工を行ったので,その概要として構造や特徴,工場製作,現地施工について紹介する。

 
■京都大学(熊取)中央観測塔の製作・工事について(No.58)
概要

京都大学殿は,大阪府南部にある熊取実験所構内に建設された高さ35mの支線式気象観測塔の老朽化に伴い,2013年6月に同じ35mの高さの自立式鉄塔の建て替え工事を行った。

この気象観測塔に風向風速計や湿度計などを設置し,風向,風速,気温,湿度などの気象データを採取している。その観測塔は,鉄塔本体が風向や風速の観測に影響を及ぼす度合いを最小限に抑えることができるような装柱とした。

この観測塔の建設工事を当社が請け負い,製作・施工を行ったので,その構造・工場製作・現地工事の概要を紹介する。

 
■箱根ARSR空中線鉄塔の製作,工事(No.57)
概要

東京航空局殿は,航空路上の航空機の位置を探知し,航空機の誘導および航空機相互間の間隔設定等レーダーを使用した航空路管制業務に使用される航空路監視レーダーARSR(Air Route Surveillance Radar)用空中線鉄塔(現用鉄塔,予備鉄塔)を神奈川県足柄下郡に設置した。

そのARSR空中線鉄塔の建設工事を当社が請け負い,製作・施工を行ったので,そのARSR空中線鉄塔の構造・工場製作・現地建方の概要を紹介する。

 
■千葉火力線3・4号線都市型PL鉄塔(No.4)の設計・製作概要(No.56)
概要

東京電力株式会社殿は,千葉市内に275kV千葉火力線3・4号線の送電線を支持する鉄塔を4基建設した。

この千葉火力線3・4号線は,千葉火力発電所に増設されるガスタービン発電機により発電した電力を東京都心方面に送電するための線路で,架空送電線と地中送電線から構成されている。

本線路の鉄塔は千葉市都市景観条例による景観計画区域内に建設されるため,景観に配慮した都市型鉄塔が採用されている。構造的特徴としては,腕金主材にH形鋼を使用することで吊材を設置しないシンプルな片持ち梁形式としていることが挙げられる。また,塔体の構造は主柱材に鋼管,腹材に山形鋼を使用したPL鉄塔である。

当社では,本線路の鉄塔のうち1基の設計と製作を行ったので,その概要を紹介する。

 
■波照間島可倒式風力発電設備用タワー製作,工事(No.52)
概要

沖縄電力株式会社殿は,発電コストの低減およびCO2排出量削減を目的に風力発電設備を設置してきた。しかし,大型台風の影響で風力発電設備用タワーの倒壊やブレードの折損等の被害が発生したため,その打開策として強風に耐え得る設備の開発やバックアップ用電源の設置等で対応してきた。ところが,この打開策が小規模離島ではコストアップの要因となり,経済性が確保できない状況を引き起こしていた。

そこで発想を180度転換し,強風を避ける新たな風力発電設備としてフランス(ベルニエ社製)の可倒式風力発電設備に着目し,同風力発電設備が建設されているニューカレドニアなどで現地調査を実施して採用検討を行った結果,コストメリットがあると判断し,波照間島での建設実現に至った。

その設備の一部である風力発電設備用タワーの製作を当社が請け負ったので,そのタワーの構造および工場製作についての概要を紹介する。

 
■江東LDAカウンターポイズ製作,工事(No.51)
概要

東京航空局殿は,東京国際空港の再拡張事業に伴うD滑走路の建設工事にあたり,再拡張後の滑走路へ進入する航空機を誘導するための無線施設(LDA:Localizer type Directional Aids:ローカライザー型方向援助施設)を東京都江東区青梅2丁目の地先に位置する中央防波堤外側埋立地に設置した。

その無線施設は,航空機に対し,電波を発射して適正な進入経路を導くものであるが,その電波反射面は凹凸のない平面が望ましい。しかし,中央防波堤外側埋立地は相当量の地盤沈下が予想され,地表面そのものを反射面とすることは難しいと考えられた。そこで,LDAの性能を安定して担保する必要最小限の電波反射面として,カウンターポイズと呼ばれる鋼構造物を建設した。

その平面寸法は85m×61m,鋼材重量は約490トンの大規模なものであった。 そのカウンターポイズの建設工事を当社が請け負い,製作・施工を行ったので、その概要として、カウンターポイズの構造・工場製作・現地建方について紹介する。

 
■モニュメント型風力発電鉄塔「SMARK TOWER」の設計,製作および工事について(No.50)
概要

近年の人間活動の拡大に伴って,二酸化炭素,メタン等の温室効果ガスが人為的に大量に大気中に排出されることで,地球が過度に温暖化する恐れが生じている。この温室効果ガスの排出を削減させるために,これまでの化石燃料から風力や太陽光といったクリーンエネルギーへの転換が着目されている。

このたび,東京建物株式会社殿は,群馬県伊勢崎市のショッピングモール「SMARK」内に,日本最大級のモニュメント型風力発電設備を建設した。

 この風力発電設備には,株式会社シグナスエナジー社の直線翼垂直軸型風力発電機「シグナスミル」3台がツリー状のタワーに設置されている。

 このタワーの基本計画は,ロサンゼルスオリンピックやタイムズスクエアーなどの環境デザインで世界的に有名な米国のデザイナーのフェルナンド・バスケス氏が行ったものである。

 不特定多数のお客様が訪れるショッピングモールのモニュメント的構造物であることから,そのコンセプトは「風車が恒常的に稼動している風景を創る」ことにあり,その風車を支持するタワーは,同じく同氏によってデザインされた店舗建築物と調和しつつ,ショッピングモールのシンボルとしての役目もなすように計画されている。

この風力発電設備のうち鉄塔部分である「SMARK TOWER」の細部デザイン,実施設計および製作を行ったので,本報でその概要を紹介する。

なお,風力発電装置の製造元である株式会社シグナスエナジー殿のご協力のもと,現場での施工状況の概要も加えて紹介する。

 
■シャープ堺浜スタンション ケーブル支持架台の据付工法について(No.50)
概要

2007年11月に大阪府堺市の臨海部で着工した(株)シャープ殿の堺液晶パネル工場が2009年10月1日に稼働した。敷地内には現在薄膜太陽電池工場も建設中で2010年3月に稼働予定となっている。敷地面積は127ヘクタール(甲子園球場約32個分)で総投資額は約4300億円と発表されている巨大工場群である。

このシャープ堺工場のエネルギー棟から液晶工場間を結ぶ鉄骨スタンション(※1)工事において,6.6kV高圧ケーブルCVT325sq最大192条の大容量ケーブルを布設するためのケーブル支持架台(以下,鉄骨トレイと呼ぶ)を設置する必要があった。

この鉄骨トレイを設置するにあたり,必要な強度を満たした上で,鉄骨トレイを据付けるスタンション側との取り合い,建方工期,吊上げ重量およびケーブルの布設施工など様々な制約条件がある中で,検討段階から関係者間で協議を重ね,250tonを超える大規模な鉄骨トレイの設計・製作・施工を行い,客先が希望した納期までに完成させることができた。

この建方工事においては,鉄骨トレイの鉄骨スタンションへの据付けを迅速に行うために,鉄骨トレイを最大3ブロックの立体トラスで1ユニットに地組みし,その1ユニットを揚重して据付ける工法を採用した。

本報では,その鉄骨トレイの設計および製作の概要を述べるとともに,その据付工法について紹介する。

 

※1 スタンション:プラント相互を接続して水,ガス,電力などを供給するための設備。

 
■基礎の不同変位に伴う鉄塔対策工事(No.49)
概要

500kV送電用鋼管鉄塔に発生した基礎の不同変位に対して,主柱材3脚についてジャッキアップを行い,主柱材長さを調整することで垂直不同変位による付加応力の除去対策を行った。付加応力の除去対策を行ってもまだ強度不足となる部材については,強度を満たす部材に取り替えを行った。

なお,主柱材および腹材にひずみゲージを貼って,主柱材ジャッキアップによる部材応力の変化を確認することにより,不同変位による付加応力の大部分が除去されたことを確認した。

 
■鋼管トラス通信鉄塔の主柱材補強工事について(No.48)
概要

国土交通省 関東地方整備局 江戸川河川事務所殿の鋼管トラス通信鉄塔の主柱材補強工事で,主柱材にプレートを溶接して補強する工法が採用され,現地溶接,現地亜鉛溶射および現地塗装を行った。

弊社等は,この主柱材補強工事の製作および施工に携わったので,その概要を紹介する。

 
■十和田・北上幹線 人が入れない鉄塔基礎の基礎材据付工事(No.47)
概要

東北電力株式会社殿 500kV十和田・北上幹線新設工事の鉄塔基礎には,場所打一本杭基礎が採用されました。この場所打一本杭基礎は,入孔作業が困難な小口径鋼管内での基礎主脚材の据付工事となります。従来の入孔作業を必要とする基礎据付台(デンロ技報No.19(1994年),No.20(1995年)および25(1997年)で紹介)が適用できないため,入孔できない環境でも据付工事が容易にできる基礎据付台を開発しました。

特徴は以下の通りです。

  • @ 従来の基礎据付台にガイド機能を追加することで,小口径の孔内に作業員が入孔することなく基礎主脚材の据付ができます。
  • A 孔内で基礎据付台に基礎主脚材を接合する際のガイド材を設けているため,所定の位置へ従来の基礎据付台と同様の据付精度で接合する事が可能です。


■七日市連絡線不同変位対策の設計・施工について(No.46)
概要
 送電用鉄塔は,遠隔地の発電所から都市部の変電所まで電力を送る送電線を支持するためのものであり,用地面の制約から,地形,地質的に劣悪な条件下でも鉄塔を建設する場合がある。また,建設後も鉄塔周囲の都市開発,宅地,道路の開発により,盛土,切土などの土木工事が行われる場合が多い。これらの状況に加えて,地震,豪雨などの自然現象の影響もあり,鉄塔基礎が沈下や移動する現象,すなわち不同変位が生じる場合がある。
 鉄塔基礎が不同変位することによって,鉄塔には付加応力が発生し,鉄塔の耐力を低下させる。垂直方向の不同変位に対する対策は,ジャッキアップ装置を使用して,最も沈下した脚の主柱材を切断してジャッキアップし,長さ調整をしたバットジョイントを挿入する。水平変位に対する対策は,不同変位の影響が生じていない節点位置と変位後の鉄塔基礎位置を基準に主柱材の変形を緩和するように部材長さを調整した新規部材を製作して取り替える。
 今回は,アングル鉄塔を対象とした,基礎の不同変位による付加応力の除去対策例を紹介する。


■送電用鉄塔の嵩上げ工事用汎用仮設架台について(No.45)
概要
 中国電力株式会社殿は,広島西幹線の一部増強工事および耐雷対策に伴い,鉄塔のベンド点より上部を嵩上げる工事を実施した。この嵩上げ工事において,架空地線や電力線を仮預けするため,下の写真に示すような仮設架台を使用し,以下のような手順で工事が実施された。
 @既設鉄塔に仮設架台を取付ける。
 A既設鉄塔から仮設架台へ架空地線および電力線を移線する。
 B既設鉄塔のベンド点より上部の部材を撤去し,新材を組立てる。
 C仮設架台から嵩上げ後の鉄塔へ架空地線および電力線を移線する。
 D仮設架台を取り外す。
 
 この仮設架台は,広島西幹線bQ〜19間の9基の工事に適用できるように共通設計を行った。
 弊社では,この仮設架台の設計・製作を行ったので,仮設架台の設計概要および構造について紹介する。


■笹森山デジタル放送用鉄塔の設計・製作および工事報告(No.42)
概要
 ここ数年,地上デジタル放送の受信地域拡大のため,全国的に送信設備の整備が行われており,送信設備の一部である放送用鉄塔が各地で建設されている。
 この度,日本放送協会(NHK)殿が福島県福島市に新設したデジタル放送鉄塔の建設工事を当社が請け負い,製作・施工を行ったのでその工事概要(鉄塔構造・工場製作・現地建方)の紹介を行う。


■東北ガルバセンター建設工事 −溶融亜鉛めっきによる鋼構造物のライフサイクルコストの低減−(No.36)
概要
 当社,日本電炉株式会社は,岩手県花巻市・第二工業団地内の約36,000m2の敷地に,溶融亜鉛めっき 工場(名称:東北ガルバセンター)を新設し,平成14年5月から本格的に操業を開始した。
 同センターの溶融亜鉛めっきの生産能力は月産2000トン(三直交替5000トン)で,国内最大級の処理 能力を有するとともに,最新鋭の技術を導入した自動化設備や環境対策設備を有している。
 当社においては,鉄塔を主製品とする鉄構部門とめっき設備を含む生産設備を主製品とするプラント 部門とがあり,丸亀工場と東北工場の両鉄塔工場のめっき設備や加工機械の多くは自社開発である。同 センターの建設は,両部門がこれまでの開発や運用を通じて培ってきた技術の上に,環境と働く者にや さしい先進の技術を欧米から導入して,計画から設計,製作,施工,工事監理までを直営で行った。
 また,建物及びプラント基礎工事,外構工事,鉄骨建て方工事,外装工事,建具工事,電気工事など の専門工事については,CM(コンストラクション・マネジメント)方式を導入し,これらの各種専門 工事業者へ直接発注した。
 同センターの工場棟の鉄骨は,めっき工場内の酸や湿気に曝されやすい環境下におけるライフサイク ルコストの低減を考え,すべて溶融亜鉛めっきを施した。また,梁構造はビルドH形鋼を多用する従来 の工場鉄骨とは異なり,配線・配管上あるいは採光上,必要な空間をできるだけ広く取れるようにトラ ス構造とした。
 本報では,同工場棟の建築工事の概要を報告する。
 あわせ,自社工場に溶融亜鉛めっきを採用し,その有効性を実証することで,溶融亜鉛めっきを,さ らに建築鉄骨ほか鋼構造物に普及できる可能性を述べる。



■DoCoMo東北山形ビル鉄塔新設工事の概要(No.34)
概要
 NTTドコモ東北殿は,山形県山形市幸町にDoCoMo東北山形ビルを新設し,屋上にマイクロ鉄 塔を建設した。
 鉄塔は,八角形断面パイプトラス構造で,鉄塔高37m(地上高80m),鉄塔重量は約215tonである。 また,第1節中間部から鉄塔頂部までは,都市景観との調和を配慮して塔体全周に外装材としてアルミ 押出しスパンドレルによるカーテンウォールを取り付けている。
 建設現場はJR山形駅の真横で,現場周辺では人や車の往来が激しいことから,特に災害防止に重点を 置いて施工を行った。
 弊社は,この鉄塔の製作および施工に携わったので,その概要を紹介する。



■埼玉オペレーションセンター通信用鉄塔の設計・製作および工事報告(No.33)
概要
 ツーカーセルラー東京株式会社殿は,埼玉オペレーションセンター(通称: SOC)に通信用鉄塔を建 設した。
 この通信用鉄塔建設の目的は,交換局と基地局を結ぶ有線回線を自社無線回線化することにより、通信費 の削減を図るためである。
 建設地は埼玉県春日部市内であり,周辺が市街地であることから環境に調和 させる必要があること,また,自社のシンボルタワーとするためにモニュメント的な要素の取入れを勘 案し装柱選定をした。併せて,施工時の安全対策,保守性などについても十分な検討を行なった。
 当社は,この通信鉄塔の意匠デザイン〜 設計〜製作〜上部組立工事を担当したので,本報ではその概 要を紹介する。



■郡山消防署屋上通信用鉄塔の製作および建方工事報告(No.32)
概要
 郡山地方広域消防組合消防本部は、福島県郡山市堂前町に郡山消防署庁舎およびその屋上に通信用鉄塔 を建設した。
 建設場所は、郡山市のほぼ中心に位置し、一級国道4号線に面しており、オフィスや百貨店およびホテ ルなどの高層建築物が建ち並ぶ市街地にある。消防署庁舎および通信用鉄塔は、この市街地の景観調和を 考慮した地域のシンボルとなるようにデザインされている。
 また、一級国道4号線に面しているので交通量 が激しく、市街地の為人通りが多いのに加えてすぐ裏側は小学校と隣接することから、施工時には工程管 理、安全対策および騒音対策に十分の注意を払い工事を進めた。
 当社は、この通信用鉄塔の製作および建て方工事を(株)大林組東北支店・(株)蔭山組共同企業体の元で 担当したので、本報その概要を紹介する。



■橘湾火力線 景観調和鉄塔の製作について(No.30)
概要
 電源開発株式会社と四国電力株式会社は共同で、徳島県阿南市に280万kWの石炭火力発電所を建 設し、平成12年7月からの運開を予定している。
 この発電所は室戸・阿南海岸国定公園に隣接、橘湾内の小勝島に建設されてることから、環境調和型 発電所として景観対策がとられている。このため、発電所から引き出される500kV橘湾火力線の第1 号鉄塔(特VD1型鉄塔)は、発電所内の構築物との調和を含めた景観対策が施されることとなり、日本 電炉株式会社もそのデザインの検討に携わった。
 デザイン検討の結果、大幅なコストアップを押さえることから、経済的なトラス構造を基本として、 軽快感や柔和感あるいは華麗さを表出するため、エッフェル塔をイメージした多曲点のシルエットを持 つ装柱が採用された。日本電炉株式会社はその鉄塔の製作を行ったので、その概要を本報で紹介する。



■天王寺消防署通信用鉄塔のデザイン・製作および工事報告(No.29)
概要
 大阪市殿は、天王寺区上本町に天王寺消防署、および通信用鉄塔を建設した。
 この場所は、大阪市のほぼ中心に位置し、オフィスや百貨店などの高層建築物が建ち並ぶ市街地であ る。消防署および鉄塔は、この市街地の景観調和を考慮したデザインになっている。
 また、市街地で人通りが多く、交通量も激しいことに加え、すぐ近くに小学校と中学校があることか ら、施工時には安全対策、騒音対策を十分行った。
 当社は、この通信用鉄塔のデザイン〜設計〜製作〜工事について担当したので、本報ではその概要を紹 介する。



■知多制御所無線通信用鉄塔の製作について(No.28)
概要
 無線通信用鉄塔は、たわみ制限によって部材断面積が決定されるため、受風面積が小さくできる小径 厚肉鋼管が使用される場合が多い。
 知多制御所無線通信用鉄塔は、主柱材に厚肉の遠心力鋳造鋼管(Gコラム)を使用した鉄塔高70mの 屋上式鉄塔である。また、主柱材は下部24mが8本、上部46mが4本の構造であることが特徴である。
 弊社は、知多制御所無線通信用鉄塔の製作を担当したので、鉄塔の工場製作を中心に概略を紹介する。



■建設省関東地方建設局運河出張所通信鉄塔(No.27)
概要
 建設省関東地方建設局殿は利根川と江戸川とを結ぶ利根運河のほとりにある運河水辺公園内の運河出 張所に通信鉄塔を建設した。
 この通信鉄塔は、公園内に建設されるため、景観との調和を配慮した構造、デザインとなっている。 また、展望塔として一般の人に開放するために、塔外側には螺旋階段と、展望用プラットホームを備え ている。
 本報では、当鉄塔の設計、製作、施工について概要を紹介する。



■日本電業工作(株)殿向 8角断面無線鉄塔の製作について(No.26)
概要
 日本電業工作株式会社殿は埼玉県坂戸市に全天候型の作業棟施設の新設工事を行った。この作業棟の屋 上に地上高45m(鉄塔高27m)の鉄塔が建設された。
 この作業棟および鉄塔は雨、雪、強風等の悪天候でもアンテナの塗装や性能測定、調整作業ができるよ うに設計されたもので、鉄塔の構造には八角形のパイプラーメン構造が採用されている。
 鉄塔の使用目的の特殊性から、通常の通信用鉄塔とは構造が異なるため、本報で鉄塔の製作から施工ま での概要を紹介する。



■移動無線用セミモノコックタワーの設計・製作・施工について(No.23)
概要
 セミモノコックタワーは環境調和型鉄塔として開発されたもので、従来のモノポールやシリンダー柱に はない、新構造を採用した分割型モノポールである。セミモノコックとは大型航空機の胴体構造等に用い られる半張殻構造の事であり、薄い外板とこれを補強する縦通材(ストリンガー)およびリング状のフレー ムからなる構造形式で非常に軽くて強いという特性がある。
 セミモノコックタワーはこの半張殻構造を鉄塔に応用したもので、8枚のユニットで構成される八角形 断面の分割型モノポールであり、次のような特徴を持っている。
1.コストダウン
 ・総重量ならびに単品重量が、従来型モノポール方式の鉄塔に比べ軽い。
  ・標準化に適し、共通部品が多く、マスプロ化によるコスト低減が図れる。
2.適用範囲拡大
 従来型モノポールに比べ、更に大規模領域まで拡大が図れる。
3.施工性向上
 従来型モノポールに比べ、単品重量が著しく軽減されるため、運搬・緩立てが容易で・しかもボルト 接合のため、特殊工具や現場溶接作業等を必要としない。
4.メインテナンスコストの削減
 すべての部材にめっきが施されており、塗装の塗り換えなどのメインテナンスコストが削減できる。
5.環境調和
 8角形断面のため単調さがなく、またテーパーを付けて頂部を細くしているためスリムである。

本報では、セミモノコックタワーの移動無線用鉄塔への適用例としてその設計から施工迄を紹介する。



■CD型スリーブ継手を採用した愛知瀬戸線4PHs型鉄塔の設計、製作、組立てについて(No.22)
概要
 送電用中空鋼管鉄塔の主柱材継手には、引張ボルト接合方法の鍛造フランジ継手が広く採用されている。 しかし、この継手には構造上、
 @厳正なボルト締付軸力の管理が必要。
 Aテコ反力によるボルトヘの二次応力の発生。
等があり、設計、製作、施工面で十分な配慮が必要となっている。
 そこで、これらを解消するため、昭和63年から新しい主柱材継手であるCD型スリーブ継手の開発に着 手し、構造解析、ボルト試験、部分モデル試験および実規模試験を経て、北陸実証試験線の鉄塔に試験採 用した。
 試験線鉄塔では、経年による継手および継手ボルトの機械的試験(劣化調査)を実施したほか、ボルト の緩み試験を実施し、実用上問題のないことを確認できたことから、平成6年度に実線路として初めて同 継手を275KV愛知瀬戸線に採用した。
 このCD型スリーブ継手は、これまでの鍛造フランジと構造が異なるため、同継手を含めた鉄塔製作お よび組立工事の概要について紹介する。



■千代田ビル屋上通信用大型鉄塔の製作について(No.20)
概要
 中部電力株式会社殿は名古屋市中区千代田2丁目に事務所・機械室および変電所からなる地下6階、地 上15階・塔屋1階の鉄骨ビルの新築工事を行った。このビルの屋上には地上高165mの通信用鉄塔が建設 された。
 この鉄塔は無線通信パラボラアンテナを支持するためのものであり、屋上より約100mの高さがある。 構造形式は直径10.0mと6.6mの正八角形の2重チューブ形式の鋼管トラス構造で、16本の主柱材は遠心 力鋳造鋼管が使用されている。また、構造規模および荷重条件から鉄塔重量は約915tにもなる。
 このように本鉄塔は大型で、使用鋼材や構造形式が通常の通信用鉄塔とは大きく異なるため、本報で鉄 塔の設計から施工までの概要を紹介する。



■本四連系線・岡山水道横断部 引留鉄塔の設計・製作の概要について(No.19)
概要
 本四連系線は、西日本社長懇談会の決定を受けて電源開発株式会社が平成6年7月の運開を目途に施工 中の送電線であり、四国電力株式会社讃岐変電所から中国電力株式会社東岡山変電所の本州と四国を連系 する亘長127kmの50万ボルトの送電線である。
 岡山水道部の径間は、1,575mの長径間で50万ボルト4導体送電線としては、国内外において最大級の 規模となることから、既設海峡横断鉄塔の設計技術を基盤として、最新の設計技術を採用した。
 本稿は、架空線工事のうち長径間海峡横断である岡山水道横断部の引留鉄塔の設計、製作の概要につい て、紹介する。



■太龍寺ロープウェイ支持塔の設計と製作について(No.17)
概要
 徳島県阿南市の山間部にある四国霊場21番札所の太龍寺に、西日本で最長のロープウェイが平成4年7 月に開通した。
 この太龍寺は真言宗の開祖である空海=弘法大師が開基した寺で、標高約600メートルの山頂にあり、 四国88ヵ所の札所の中でも有数の難所で、阿南市側の登山口から歩いて片道約2時間半もの行程であった。
 このロープウェイはふもとの那賀郡鷲敷町と山頂を結び、全長が2,775mある。101人乗りの大型ゴンド ラが2基で運行し、片道を12分で走行する。山麓駅と山頂駅の間にはこのロープウェイを支持する2基の 支持鉄塔が建設されている。
 弊壮ではこの2基の支持鉄塔の設計と製作を行った。従来から蓄積された送電鉄塔や通信鉄塔の設計・ 製作・施工に関する技術力を応用して、今回のロープウェイ支持鉄塔を無事完納した。
 本報ではこのロープウェイ支持鉄塔の設計と製作の概要を報告する。



■玉造町・霞ヶ浦ふれあいランド展望塔の鉄骨製作(No.16)
概要
 茨城県行方郡玉造町殿は、県や水資源開発公団と共同して、霞ヶ浦の東岸に親水公園「霞ヶ浦ふれあい ランド」を建設し、そのシンボルタワーとして、展望塔「玉造・虹の塔」を建設した。この塔は、大林組 殿が受注した工事の一部であり、当社は鉄骨部分の製作を担当したので玉造・虹の塔の工場製作を中心に 概略を紹介する。



■宗像分岐線環境調和型鉄塔の設計・製作および工事報告(No.15)
概要
 九州電力(株)福岡電力所殿は、福岡市近郊の古賀町内に5基の送電用環境調和型鉄塔を建設した。当線 路は住宅都市整備公団が開発しているニュータウン内を通過していることから、一部ルート変更を行い、 建て替えとなる鉄塔の内5基を環境調和を考慮した装柱とした。
 同公団の要請が円形に近い断面のモノポール鉄塔であったことに従い、12角断面のテーパー付鋼管を塔 体としたモノポール構造とし、その接合は複動式油圧ジャッキを用いた嵌合継手方式(さし込み式)とし た。この嵌合継手では12角断面鋼管の製管精度が継手部の剛性や耐力に大きく影響するとともに鉄塔高さ や鉄塔の垂直度の精度にも影響する重要な要素となる。
 本件は66KVの2回線鉄塔であるが、設計電線サイズはTACSR410muの比較的太径のものを使用する 上に、直角引留型鉄塔もあり、鋼管の最大径が約2.5mとなり、嵌合継手方式の鉄塔としては、国内では 例のない大規模のものとなった。このため、前例のない太径の12角断面鋼管の製管を精度良く行うため、 製管方法の見直しや公差設定の検討を十分に行った。
 この結果、各部材の製管後の形状・寸法はほとんどが目標公差内に納まり、現場での嵌合工事において、 その嵌合継手長さや鉄塔の垂直度は全鉄塔について、許容差に納めることができた。
 本報では、12角断面鋼管の製作も含めた鉄塔の設計から工事までの概要を報告する。



■京都府防災京都府庁新事務棟鉄塔新設工事について(No.14)
概要
 京都府では、府の防災行政工事の一環として、府庁新事務棟屋上に塔高27.1mの無線通信用鉄塔を建 設した。本鉄塔の特徴としては、建設地が京都市中心部であるため、周辺の景観にあった8角形補強トラ ス付シリンダータイプを採用したこと、さらに長期防蝕性に優れ、しかも美観を損いにくいことから鉄塔 ではあまり例のないアルミ溶射を防蝕塗装として採用した点が挙げられる。
 本報告書では、当該鉄塔工事における製作、施工についての報告と併せ・アルミ溶射の施工概要につい ても報告する。



■重信支線π引込みラーメン型鉄塔の設計・製作について(No.13)
概要
 四国電力株式会社殿は、愛媛県松山市郊外の重信変電所新設工事において、松山自動車道の開通などに よる周辺地域の発展に応じるため、環境調和を考えた送変電設備の工事計画を立て、その工事を平成元年 度に実施した。
 通常、変電所において、送電線は引留鉄塔から変電所内の屋外鉄構を介して、変電機器類に引込まれる のが一般的な方法であった。
 しかし、用地の取得が困難になってきたことや、変電設備が周辺環境に威圧を与えないことが要求され るといった最近の社会的状勢の変化から、屋外鉄構をなくし、引留鉄塔から地下ケーブルを介して防音室 内のGIS(ガス絶縁開閉装置)に送電線を引込む方法が増える傾向にある。
 昭和62年度に完成した松前支線引留鉄塔では、この環境調和指向を更に一歩進め、ケーブルを主柱材鋼 管内に引込むことで、ケーブルラックをなくし、さらに、鉄塔の結構をシングルワーレンにすることで構 造のシンプル化をはかった。
 松前支線で採用したCVケーブルの主柱材管内引込み方式は、全国でも、前例は少ないため、その安全 性を確認する目的で、管内に漏電、温度、風速などを測定するセンサーを設置し、常時、監視を継続して いる。その観測結果から、CVケーブルの主柱材管内引込み方式の安全性が十分高いことを確認した。
 本工事でも、その方式を採用し、鉄塔については、よりシンプルで経済的な構造とするために数タイプ の装柱に対する比較設計を行い、その結果、首上部をラーメン構造とした。
 本報では、この重信支線π引込みラーメン型鉄塔の設計、製作について紹介する。



■名古屋市防災行政用ラーメン型美化無線鉄塔新設工事(下)「鉄塔製作・工事について」(No.12)
概要
 前報では、名古屋市が市の防災行政事業の一環として、緑区役所の敷地内に建設した防災行政用無線鉄塔 の設計内容を紹介した。
 本鉄塔には、建設地周辺の環境との調和をはかるとともに、シンボルタワーとしての特徴を出すため、ラ ーメン構造を採用し、頂部には4角錘形のモニュメントとUFO型のプラットホームを取付けた。
 これら設計時の基本デザインのイメージを損なわずに、かつ、設計強度を十分に確保できるよう品質管理 を厳重に行い、本鉄塔工事を無事完了することができた。
 本報では、鉄塔新設工事(下)として、工場製作から、建方工事完了までの概要を紹介する。



■名古屋市防災行政用ラーメン型美化無線鉄塔新設工事(上)「鉄塔設計について」(No.11)
概要
 名古屋市では、市の防災行政事業の一環として、同市内の防災拠点となる適所に、多重固定系無線通信設備を搭載する鉄塔の新設工事が進められている。
 平成元年の夏から初冬にかけて、同市内を中心に行なわれた世界デザイン博覧会の開催期間が、本工事の計画と重なったこともあり、平成元年に着工した4基の地上式鉄塔について、従来のトラス構造を主流とした機能と経済性を重視した鉄塔のイメージを脱し、シンボルタワーのためのデザインを取り入れることにした。
 そこで、建設地周辺の環境との調和と、敷地条件との適合を念頭に置き、数タイプの基本デザインを行い、総合的な比較検討の結果、ラーメン型とシリンダー型の鉄塔を各2基づつ建設することに決定した。
 本報では、ラーメン型が採用された緑区役所敷地内の鉄塔について、装柱決定の経緯や、基本デザインのイメージを崩すことのないように検討した各部継手構造や付帯設備構造など、鉄塔の計画から細部設計までの概要を紹介する。
 なお、次号で、製作から施工について紹介する。



■FRP製煙突支持鉄塔の設計・製作および工事について(No.10)
概要
 株式会社アサヒビールパックス(旧社名:新日本硝子株式会社)殿は、姫路市に新工場を建設するにあたり、工場内に硝子溶解炉排ガス湿式脱硫用の煙突を建設した。
 この煙突には、4本のFRP製筒身を鉄塔で支持するタイプが採用されたが、これは国内でもあまり例のない構造であり、煙突筒身の支持部の構造やドレーンパイプの配管方法に、慎重な配慮を必要とした。
 弊社は、本工事のうち支持鉄塔の設計・製作および組立を担当し、昭和63年12月に完工した。
   本報告書では支持鉄塔の設計・製作および工事の概要を紹介する。



■万博公園浄水場シリンダー型無線鉄塔工事(下)「鉄塔製作・工事について」(No.9)
概要
 大阪府水道部殿は、万博公園内の陸上競技場に隣接して、シリンダー型の無線鉄塔を建設した。
 この陸上競技場のグラウンド地下部は、浄水池等の浄水処理施設となっている。本鉄塔は、その施設の 一つとして、府内の各浄水場との無線回線を確保するために建設された通信用鉄塔である。
 前報(8)では、本鉄塔工事報告(上)として、計画から、設計までの概要を紹介した。
 本報告では、同鉄塔工事報告(下)として、工場製作から、建方工事、そして完成までの概要を紹介する。



■万博公園浄水場シリンダー型無線鉄塔工事(上)「鉄塔設計について」(No.8)
概要
 大阪府水道部殿は、府内の水道事業の一環として、北大阪地域を給水対象とする浄水処理施設を万博 公園内に建設している。
 この浄水場は、土地の有効利用を図るため、既設の陸上競技場を撤去し、そのグランド部の地下に浄 水池を設け、新たに、その上に陸上競技場を建設した。
 その競技場周辺に、薬注館などの浄水処理施設を建設しているが、その施設のひとつとして、通信用 の鉄塔が建設される。
 当初、この鉄塔は、薬注館の屋上に、パイプトラス型鉄塔として、計画されていたが、この浄水場が 万博公園内にあり、更に、競技場のメインスタンドから、ほぼ正面に、鉄塔が見えることから、景観に 調和し、威圧感のないシンプルなシリンダー型鉄塔に計画変更となった。
 また、シリンダー型鉄塔とした場合、薬注館屋上への付加応力の増加から、地上式に変更となった。
 シリンダー型鉄塔では、単柱型、補強トラス付型、脚付型の3種について、比較検討を行い、その結 果、単柱型が採用された。
 本紙では、本工事報告の(その1)として、鉄塔の計画から設計までの概要を紹介する。
 なお、製作から施工については、(その2)として次号で紹介する予定である。



■電源開発(株)本店社屋屋上の無線通信鉄塔工事について(No.7)
概要
 電源開発株式会社殿は、本店ビルを丸の内1丁目から銀座6丁目へ移転するにあたり、その新社屋屋 上に高さ80mの無線通信鉄塔を建設した。
 この鉄塔は、新社屋の高さ約70mを加えると、地上から頂部までの高さが約150mになる。
 建設地点が銀座中央部に位置し、衆目を浴びることから、鉄塔の装柱について、4タイプの形状が提 案され、美観、施工性、経済性などについての比較検討をもとに、装柱が決定された。
 また、地震の発生頻度の高い地域であって、しかも、高層建築物の屋上に建つ高鉄塔であることから、 通常の耐風設計だけでなく、動的解析結果を反映した耐震設計も行われた。
 弊社は、本工事において鉄塔の製作を担当し、上記の設計思想に基づいた種々の構造検討を、模型や 試作品を製作しながら行い、これらの結果を鉄塔製作に反映させた。
 本報では、この鉄塔の設計、製作および工事について紹介する。



■国際放送用アンテナ鉄塔の設計と工事について(No.6)
概要
 国際電信電話株式会社殿は、国際放送送信設備の整備・拡充計画に伴い、茨城県下の八俣送信所にお いて国際放送用アンテナ設備設置工事を実施した。
 整備工事のうちアンテナ設備設置工事は、29基の鉄塔を建設し、これらの鉄塔に、カーテンアンテナ 13式を展張したものである。
 支持するアンテナの構造が特殊なことから、通常のパラボナアンテナを搭載する通信用無線鉄塔とは、 設計荷重や鉄塔構造の面において、相異する点が多かった。
 このため、設計〜工事までの種々の面において、通常の通信用鉄塔にない配慮が必要であった。
 本報告書では、これらの点について、概要を紹介する。



■愛知県防災行政無線鉄塔の設計および工事について(No.4)
概要
 愛知県総務部消防防災課殿は、災害対策を目的とした防災行政無線網総合システム整備事業の一 貫として、愛知県下の適所に、通信用の空中線設備あるいは反射板を搭載する鉄塔の建設工事を行 った。
 今回の工事は、周波数7GHzの電波を使用する基幹回線ルートであるため、アンテナの搭載基 数が多く、平均すれば、直径約3.0mφのプレートパラポラアンテナが6〜8基設置された。
 立地条件としては、ほとんどが、電波的見通しのよい山上に設置されている既在の中継所の敷地 内に、今回の鉄塔が建設された。
 これらの条件から、鉄塔の規模および荷重条件は比較的大きいものであるのにもかかわらず、設計 および工事の上で以下の制約で加えられた。
 (1)鉄塔の敷地面積が狭いため、狭根開き鉄塔とする必要がある。
 (2)上記と同じ理由により、基礎体の平面的占有面積が限られる。
 (3)鉄塔工事のための十分な作業用空間が確保できない。
 (4)現物が山上にあるため、大型重機の搬入、使用が困難である。

 これらの制約事項に鑑みて、これらを満足する鉄塔および基礎の設計を行い、その設計工事を行っ た。
 本報告書では、その設計および工事について、概要を紹介する。



■フジボウ支線耐蝕型モノポール鉄塔の設計・製作および工事について(No.3)
概要
 四国電力株式会社殿は、フジボウ愛媛工場内の鉄塔建て替え工事において、鋼管を使用した2基のモ ノポール型鉄塔の建設を行った。
 この鉄塔は工場内という立地条件から、敷地面積が狭く、また、工事に必要な作業用面積も限られて いた。
 更に、工場内の排出ガスや、隣接する海からの塩分により、鉄塔か腐食されやすい環境にあった。
 これらの立地条件を克服し、環境に適合する鉄塔として、その使用材料や構造を検討した。またその 製作、施工方法にも種々の配慮を施こし、完工に至った。
 外観に重点を置いて装柱が決められたモノポール型鉄塔には、一般的にテーパー付の鋼管を使用し、 その継手はさし込み継手や現場溶接継手が採用される。更に腕金の断面形状においても溶接によるH形 や箱形が採用される。
 しかし、これらのモノポール型鉄塔は、通常の四角形鋼管鉄塔に対し、製作費の単価で、約30〜40% のコスト高となり、更に、工事費においてもコストは増加する。
 今回の鉄塔においては、テーパーのない通常の鋼管を使用し、その継手はリブ付板フランジとした。 また、腕金においては、山形鋼を使用したトラス構造とした。
 こうしたことによって、通常の四角形鋼管鉄塔と同等の単価でモノポール型鉄塔の製作が可能となっ た。
 また、結果として、完成後の外観は、外観に重点をおいた通常のモノポール型鉄塔と、大差あるもの ではないと感じられる。
 本鉄塔の完成は、外観だけにとらわれず、広い意味での環境に適合する鉄塔を経済的に建設するため の1つの指針になるものと期待する。
 本報告書では、この鉄塔の設計から、製作、工事までの概要を紹介する。



■北松山変電所66KV環境調和型屋外鉄構の設計・製作および工事報告(No.2)
概要
 四国電力株式会社殿が、愛媛県松山市郊外に、最新鋭のガス絶縁開閉装置(GIS)を採用した都市 型変電所の新設工事を行った。
 この北松山変電所は、騒音防止のため、変圧器を建屋内(防音室という)に収容し、この防音室屋上 に、送電線引出鉄構およひGISを搭載することによって、変電施設の立体化およびコンパクト化をは かり、ひいては、建築面積および用地面積の縮小化を目指したものである。
 この防音室屋上に建設される鉄構は、周囲景観あるいは防音室との調和をはかるほか、東西2方向に 引出す機能のため、従来のトラス型鉄構とは異なった形状の装柱で計画され、使用鋼材、形状および構 造等に関する事前検討を行い、設計に着手した。
 本鉄構の主な特長として下記の3点が挙げられる。
(1)美観を考慮したラーメン構造である。
(2)鉄塔〜架渉線〜鉄構間の動的相互干渉効果を考慮した地震応答解析を実施した。
(3)ポストの接合方式として、現場溶接施工を行った。
 以上のように、本変電所の屋外鉄構は従来にない、いわば未来型とも言える特性をもつものである。

 本報では、この鉄構の設計から製作、工事までの概要を紹介する。



■大間気象観測用支線式鉄塔の設計・施工について(No.1)
概要
 電源開発株式会社殿が、青森県下北郡大間町に、原子力発電所を建設するため、建設地点の立地環 境調査を実地することとなった。
 この一環として、地点の気象観測を行うため、高さ約105mの鉄塔を建設し、地上高10m、40m、70m、 105mの位置へ超音波風向風速計、温度差計等の計測機器を設置した。
 通常の自立式鉄塔では、塔体幅及び部材サイズが大きくなり、鉄塔による風の遮へい効果及び乱れ の影響が、観測の精度を低下させる。
 このため、鉄塔を支線て支持し、鉄塔の負担する外力を低減させることにより、鉄塔の塔体幅、部 材サイズを縮小し、観側に及ぼす鉄塔材の影響を少なくした。
 この支線式鉄塔は、自立式鉄塔に比べ、占有面積が広くなるため、国土が狭く、地価の高い国内に おいては、小規模な仮鉄柱やラジオ放送アンテナ用にしか採用されておらず、今回のような大型の支 線式鉄塔の建設は極めて少ない。
 支線式鉄塔は、鉄塔と支線との協調を考慮するため、自立式鉄塔よりも、設計が複雑になる。
 また、支線の緊線を完了するまでは、鉄塔が不安定であるため、海外では工事途上の倒壊例があり、 工法上の難度が高い。
 このため、本工事の着工に際し、設計から施工を通じての全ての作業について、十分な検討を行っ た。
 これらの事前検討及び設計の完了後、昭和58年8月中旬より鉄塔組立工事を開始し、同年10月末に 無事完成に至ることができた。
 本報では、前述のように、我が国では建設事例の少ない大型支線式鉄塔の設計から工事までの概要 と問題点を紹介する。