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- ■福島県あづま陸上競技場照明設置鉄塔の設計・製作・工事報告(No.75)
- 概要
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2022年3月に,福島県あづま総合運動公園内にある県営あづま陸上競技場(愛称;とうほう・みんなのスタジアム)に照明設備が増設された。
この陸上競技場は,1993年度に完成し収容人員21,000人・日本陸上競技連盟第1種公認・世界陸連クラス2認証の施設であり,プロサッカーチームである福島ユナイテッドFCのホームスタジアムとして使用されるなど,多くの人々がスポーツに取り組むとともに,イベントなどで利用する施設である。
その施設に照明設備を増設することで,夜間でもスポーツなどに取り組むことができる環境が整備された。
照明設備は最新の高効率機器および省エネルギー技術が採用されている。
当社はこの照明設備を搭載する照明鉄塔4基の設計,製作および建方工事を担当したので,それらの概要を紹介する。
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- ■新居浜市消防防災合同庁舎屋上鉄塔の設計・製作・工事報告(No.72)
- 概要
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新居浜市殿では,新居浜市一宮町に新たな防災拠点として新居浜市消防防災合同庁舎を建設した。この合同庁舎は地上6階建てで,直下型地震や南海トラフなど大震災クラスの地震にも耐えうる基礎免震構造を採用している。また,防災拠点として,屋上には無線通信用鉄塔を設置し,災害時・非常時の通信機能を強化している。
当社は,この無線通信用鉄塔の設計,製作および建方工事を担当したので,その概要を紹介する。
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- ■飛騨信濃直流幹線送電用鉄塔における構造改善事例の紹介(No.70)
- 概要
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現在,日本の送電線路のほとんどは交流送電方式で,その交流の周波数は東日本と西日本で異なる。東西で交流のまま電力を融通し合うには周波数の変換設備が必要となるが,既存の周波数変換所では変換容量が不足していた。
そこで,東西連系の強化を目的に,東京電力パワーグリッド株式会社殿は,岐阜県高山市の中部電力株式会社殿が新設する飛騨変換所と長野県東筑摩郡朝日村の東京電力パワーグリッド株式会社殿の新信濃変電所との間に,送電線路を建設することとした。
当線路の建設条件に対し,交流にした場合の「周波数変換設備の増設」と直流にした場合の「交直変換設備分散配置」の工事費用が同等であることと,直流にした場合は鉄塔が小型化できることなどから直流送電方式が採用された。
飛騨信濃直流幹線と名付けられた当線路は,直流200kVで,亘長89km,197基の山形鋼鉄塔からなり,当社はこのうち138基の鉄塔製作を行った。当線路は岐阜県と長野県の県境の山岳地を越えるルートであり,鉄塔建設地には積雪地帯や希少猛禽類の繁殖地が含まれている。そのため,1年のうち鉄塔の組立ができる期間が短く,鉄塔組立の短縮や施工性向上が要求される工事であった。
本稿では,飛騨信濃直流幹線の鉄塔について,製作および組立の短縮や施工性向上を図るために行った構造改善事例の概要を紹介する。
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- ■トンガ王国向け可倒式風力発電設備タワーの設計,製作,工事報告(No.70)
- 概要
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トンガ王国はエネルギー資源に乏しく,化石燃料を海外から輸入依存している。そのため,国際的な石油価格の変動要因の影響を大きく受ける。トンガ政府は多様なエネルギー源を確保し,安定的な電力供給を実現するため,2020年までに電力供給の50%を再生可能エネルギーで賄うことを目標としている。
そこで,再生可能エネルギーの導入促進と電力供給源の多様化を図るため,沖縄電力株式会社殿で採用している可倒式風力発電設備を建設することになった。この建設工事は,日本政府によるトンガ王国向けODA(政府開発援助)の無償資金協力案件として,西澤(株)・(株)プログレッシブエナジーJVが受注し,ブレードやナセルを支持するタワーの設計・製作を(株)デンロコーポレーションが行った。
本タワーの特徴は次のとおりである。
- @ サイクロン時は風車を倒して強風を避けることが可能である。
- A 建設や傾倒に大型クレーンが不要であり,保守管理も風車を倒した状態で行うことが可能で,足場などが不要である。
- B タワーの形状がトラス構造であり,シンプルで軽量であるため製造コストを低減できる。
上記の特徴を有する本タワーは可動部があるため,通常のタワーにはない部材や倒した状態で施工後立上げるなど,通常のタワーとは異なる。その内容を紹介する。
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- ■香取線No.9鉄塔の設計・製作報告(No.69)
- 概要
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東京電力パワーグリッド株式会社殿は,茨城県内の石炭火力発電所新設に伴い,基幹系統へ接続する架空送電線建設工事を行った。
この建設工事では,石炭火力発電所から香取線までを結ぶ鹿島パワー線鉄塔14基と鹿島パワー線とつながる香取線No.9鉄塔が新設された。
特に,香取線No.9鉄塔は他の送電線も1箇所に集結する位置に建設され,鹿島パワー線(275kV),香取線(275kV),仮鹿島線(275kV),仮船津線(66kV)の4線路を搭載した多回線鉄塔である。その鉄塔高さは139m,鉄塔重量は790tonもあり,UHV鉄塔以来の近年にない超大型送電用鉄塔であった。
当社はこれらのうち,鹿島パワー線鉄塔14基の設計,10基の製作と香取線No.9鉄塔1基の設計・製作を行った。
本稿では,この多回線大型送電用鉄塔の香取線No.9鉄塔について設計・製作の概要を紹介する。
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- ■札幌競馬場パトロールタワーの設計・製作・工事報告(No.68)
- 概要
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一般に,競馬場の各コーナーには1〜2箇所のパトロールタワーが設置されている。パトロールタワーは競走馬の競走中に違反がなかったかどうかを監視員が監視するために設けられている。加えて,カメラや照明が設置されており,監視用の撮影も塔上から行われている。
札幌競馬場のパトロールタワーは部屋が2階構造になっており,1階は係員が目視監視をするための部屋(監視室)であり,2階が監視用の撮影装置を設けた部屋(パトロール室)となっている。
今回,札幌競馬場のパトロールタワー3基を更新のために建て替えることになった。当社で鉄骨部分の設計,製作および建方工事を担当したので,その概要を紹介する。
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- ■東邦ガス株式会社本社新北館無線通信用鉄塔製作および工事報告(No.67)
- 概要
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東邦ガス株式会社殿は,名古屋市熱田区の本社敷地内に新たな防災拠点ビルを建設した。そのビルは地上7階建てで,5種類の免震装置を備えており,震度6強〜7の地震に耐えられる。また,防災拠点として,屋上には無線通信用鉄塔を設置し,緊急時の通信機能を強化している。
この無線通信用鉄塔の製作を当社が請け負い,製作および工事を実施したので,その概要を紹介する。
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- ■山岳地における超高圧送電用鉄塔の不同変位対策工事(No.67)
- 概要
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架空送電線路は,発電所と変電所間あるいは変電所間を結ぶ途中で急峻な山岳地や豪雪地帯を通過せざるを得ない場合がある。そのような場所において発生しやすい予期せぬ自然災害に対しても安全の確保,被害軽減,迅速な復旧対応などが電力の安定供給の使命から不可欠である。
しかし,近年,「地球規模での気候変動の影響と思われる豪雨,豪雪,突風」あるいは「地殻変動の活動期に入ったと言われ頻発する地震や火山活動」など日本列島における自然災害リスクは高まっていると思われる。
そのような状況の中で2016年12月末に,500kV重要幹線路の鉄塔の点検で,山間部の斜面に建つ1基の鉄塔において,曲げ点位置断面材を含む多くの部材やボルトに損傷が発見された。
原因を調査したところ,4脚中1脚の基礎が約140mmも沈下(不同変位)しており,鉄塔の応力解析結果から,これによる付加応力の影響であることが判った。
この鉄塔は標高1000m近い峻険な山岳地の尾根部に立地していることや重要幹線路で長時間の停電を要する鉄塔の建替えは容易にはできないことから,これまで500kV超高圧送電用鉄塔でも多くの実績があるジャッキアップ工法による改修工事を行うことが検討された。
しかし,解析で算出された付加応力の大きさから,既存のジャッキアップ装置では載荷能力が大幅に不足していた。これを同じ機構で単純に能力を拡大させただけでは,施工環境の厳しい当現場への運搬や取り付けが困難なため,新たな発想を取り入れ,載荷能力を満たした上で,できるだけコンパクトにした新型のジャッキアップ装置を開発した。さらに,事前に工場で装置の能力や施工性の確認試験を行い,現場での工事が安全かつ確実に行えることを確認した上で,現場へ投入し,不同変位対策工事を行った。
工事は例年の台風シーズン終了から降雪期に入る前の限られた期間内で計画されたが,例年になく晩秋に二度の台風が襲来したり,その翌週には吹雪に見舞われるなどの予想外の施工環境となった。しかし,関係者一同が万全の態勢で臨み,所定量のジャッキアップを安全かつ計画通りに行い,鉄塔の健全性を回復させることができた。
本稿では,その工事概要を報告する。
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- ■矩形鉄塔の腐食桁材取替え工法の紹介(No.66)
- 概要
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66kV4回線装柱の矩形鉄塔である柿崎線No.48,No.49鉄塔の桁部では,経年による部材の腐食が生じており,その対策として部材取替えが必要となった。その桁材の取替え時には補強が必要であり,また,狭線間であるため,電線を仮預けする仮腕金の設置工事が必要であった。
これまで,矩形鉄塔の桁材取替えについては施工実績がなく,取替え工法も確立されていなかった。
そこで,今回,矩形鉄塔の桁材取替え工法を開発し,当該鉄塔2基の桁材取替え工事に採用したので,その工法および工事の概要について紹介する。
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- 関西電力株式会社殿向MC鋼管えぼし鉄塔の製作報告(No.66)
- 概要
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送電用鉄塔の多くは,塔体の断面形状が下部から頂部まで正方形の「四角鉄塔」で,回線ごとの電力線は縦方向に配列されている。
一方,着氷雪時のギャロッピング現象やスリートジャンプ現象による上下電線の挙動による短絡が懸念される山間部においては,電線を水平に配列した「えぼし鉄塔」が採用される場合がある。その「えぼし鉄塔」の主要構成材は山形鋼とすることが一般的であるが,稀に,山形鋼の市販性のある最大サイズを越える場合は鋼管を主要構成材とした「えぼし鉄塔」を採用することがある。
当社では,2015年に関西電力株式会社殿向けにMC鋼管を主要鋼材とし,水平材をアングル化構造とした「えぼし鉄塔」の製作を約30年ぶりに行う機会を得たので,その記録や技術伝承として本稿にまとめた。また,関西電力株式会社殿から当該鉄塔の施工資料のご提供等により記載内容を充実させ,工事記録とした。
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- ■スクリュー杭基礎方式太陽電池アレイ架台の設計,施工報告(No.64)
- 概要
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環境省の「平成26年度2050年再生可能エネルギー等分散型エネルギー普及可能性検証検討委託業務報告書」によると,2030年迄の我が国の総発電量に占める再生可能エネルギー(太陽光,太陽熱,水力,風力,バイオマス,地熱など)の割合は,『再生可能エネルギーによる発電電力量の見通し』のとおり2030年は2010年実績の4倍強にまで増える予想となっている。 その一方で,太陽光に関しては固定価格買取単価引き下げ等も影響し, 『太陽光発電導入量試算』のとおり,2017年をピークに急激に減少する予想となっている。
太陽光発電による電力の買取価格(10kW以上)が平成24年度の40円/kWhに比べ平成28年度には24円/kWhに下がっており,益々建設費の低廉化が求められている。
そこで今回,その要請に応えて従来のコンクリート基礎を用いた構造に代えて,スクリュー杭基礎方式を採用することとし,その引抜き試験を行い,信頼性を確認した。その試験概要も含め,当該太陽電池アレイ架台の設計・製作・施工について紹介する。
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- ■東武ワールドスクウェア台北101展示物鉄塔設計,製作および工事報告(No.64)
- 概要
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東武ワールドスクウェア株式会社様が管理・運営されている東武ワールドスクウェア(栃木県日光市)の場内に,台湾のランドマークである超高層ビル「台北101(台湾台北市,高さ509.2m,地上101階)」を25分の1の縮尺で再現した構造物が建設され,2015年10月から展示されている。
東武ワールドスクウェアは世界の有名建築物や遺跡を25分の1の縮尺で精巧に再現した世界建築博物館ともいえるテーマパークであり,園内には46の世界遺産を含む世界の有名建築物や遺跡のミニチュアが102点ある。その中には,当社で設計・製作・工事に携わった東京スカイツリー(約26m)と,その東京スカイツリーに次ぐ高さとなる「台北101」(約21m)がある。
その「台北101」の展示物の建設工事を元請会社の東武建設株式会社様から当社が請け負い,設計・製作・施工(外装パネル除く)を担当したので,その工事の概要(構造・工場製作・現地建方)を紹介する。
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- ■フェーズドアレイレーダー気象観測用鋼管鉄塔の製作報告(No.63)
- 概要
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近年,局地的大雨(ゲリラ豪雨)や竜巻が多発し,社会問題となっている。
その現象を事前に察知するためには,レーダーで大気中の降水分布を観測することが有効である。最近ではXバンドレーダーなども整備されてきているが,さらに短時間で詳細に降水分布の3次元構造を観測することのできるフェーズドアレイ気象レーダーを設置して気象観測を行い,そこから得られたデータを有効活用することで災害を予防することが期待されている。
本件は,茨城県つくば市にある気象庁気象研究所が気象に関する研究に対して,安定した研究観測を実施することを目的として設置されたフェーズドアレイ気象レーダー用鉄塔であり,その大きさは10m(幅)×10m(奥行)×40m(高さ),重量約150tの鋼構造工作物(鋼管鉄塔)である。
この鉄塔の製作を当社が請負ったので,その設計内容や製作について紹介する。
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- ■SBM大宮ネットワークセンター鉄塔 設計,製作および工事報告(No.60)
- 概要
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ソフトバンクモバイル株式会社殿は,埼玉県さいたま市大宮区に通信インフラ施設として,ビル屋上にマイクロ波通信鉄塔を有する「大宮ネットワークセンター」を建設した。当該エリアは自然災害のリスクが低いことから,通信インフラ施設やデータセンターなどの進出が相次いでおり,首都圏の広域防災拠点となっている。
本施設のビル屋上に建設した通信鉄塔は,鉄塔高40m,質量約70tonの四角断面パイプトラス構造で,部材表面には昼間障害標識のための赤白塗装が施されている。
本鉄塔の建設工事では,ビル建築工事,電気工事,設備工事などの他の工事と工事期間が重なっていたため,クレーンなどの重機を占有使用することができず,工程調整に細心の注意を払って工事を行った。また,建設現場は正面が大通り,側面が公園に面したビルの屋上に位置しているため作業時の災害防止にも細心の注意を払う必要があった。
本稿では,当社が携わった鉄塔の設計・製作および工事の概要を紹介する。
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- ■新石垣空港カウンターポイズの製作,施工報告(No.59)
- 概要
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旧石垣空港は当時海軍飛行場として建設されたもので滑走路の長さが短く,以下のような問題を抱えていた。
- 1)扱える旅客数,貨物数が少ないため,島の産業,観光の発展に支障をきたす
- 2)長距離便が離着陸できず東京,大阪など大都市からの直行便を増便しにくい
- 3)空港周辺の市街化が進み,騒音問題などで学校の運営に影響が生じるようになった
このため,沖縄県は2,000m級の滑走路を有する新石垣空港の建設を決定した。
これに伴い,国土交通省大阪航空局は新空港に必要な航空保安無線施設を整備することとし,今回,その無線設備の一部であるVORカウンターポイズの建設工事を当社が請け負い,製作,施工を行ったので,その概要として構造や特徴,工場製作,現地施工について紹介する。
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- ■京都大学(熊取)中央観測塔の製作・工事について(No.58)
- 概要
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京都大学殿は,大阪府南部にある熊取実験所構内に建設された高さ35mの支線式気象観測塔の老朽化に伴い,2013年6月に同じ35mの高さの自立式鉄塔の建て替え工事を行った。
この気象観測塔に風向風速計や湿度計などを設置し,風向,風速,気温,湿度などの気象データを採取している。その観測塔は,鉄塔本体が風向や風速の観測に影響を及ぼす度合いを最小限に抑えることができるような装柱とした。
この観測塔の建設工事を当社が請け負い,製作・施工を行ったので,その構造・工場製作・現地工事の概要を紹介する。
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- ■箱根ARSR空中線鉄塔の製作,工事(No.57)
- 概要
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東京航空局殿は,航空路上の航空機の位置を探知し,航空機の誘導および航空機相互間の間隔設定等レーダーを使用した航空路管制業務に使用される航空路監視レーダーARSR(Air Route Surveillance Radar)用空中線鉄塔(現用鉄塔,予備鉄塔)を神奈川県足柄下郡に設置した。
そのARSR空中線鉄塔の建設工事を当社が請け負い,製作・施工を行ったので,そのARSR空中線鉄塔の構造・工場製作・現地建方の概要を紹介する。
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- ■千葉火力線3・4号線都市型PL鉄塔(No.4)の設計・製作概要(No.56)
- 概要
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東京電力株式会社殿は,千葉市内に275kV千葉火力線3・4号線の送電線を支持する鉄塔を4基建設した。
この千葉火力線3・4号線は,千葉火力発電所に増設されるガスタービン発電機により発電した電力を東京都心方面に送電するための線路で,架空送電線と地中送電線から構成されている。
本線路の鉄塔は千葉市都市景観条例による景観計画区域内に建設されるため,景観に配慮した都市型鉄塔が採用されている。構造的特徴としては,腕金主材にH形鋼を使用することで吊材を設置しないシンプルな片持ち梁形式としていることが挙げられる。また,塔体の構造は主柱材に鋼管,腹材に山形鋼を使用したPL鉄塔である。
当社では,本線路の鉄塔のうち1基の設計と製作を行ったので,その概要を紹介する。
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- ■波照間島可倒式風力発電設備用タワー製作,工事(No.52)
- 概要
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沖縄電力株式会社殿は,発電コストの低減およびCO2排出量削減を目的に風力発電設備を設置してきた。しかし,大型台風の影響で風力発電設備用タワーの倒壊やブレードの折損等の被害が発生したため,その打開策として強風に耐え得る設備の開発やバックアップ用電源の設置等で対応してきた。ところが,この打開策が小規模離島ではコストアップの要因となり,経済性が確保できない状況を引き起こしていた。
そこで発想を180度転換し,強風を避ける新たな風力発電設備としてフランス(ベルニエ社製)の可倒式風力発電設備に着目し,同風力発電設備が建設されているニューカレドニアなどで現地調査を実施して採用検討を行った結果,コストメリットがあると判断し,波照間島での建設実現に至った。
その設備の一部である風力発電設備用タワーの製作を当社が請け負ったので,そのタワーの構造および工場製作についての概要を紹介する。
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- ■江東LDAカウンターポイズ製作,工事(No.51)
- 概要
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東京航空局殿は,東京国際空港の再拡張事業に伴うD滑走路の建設工事にあたり,再拡張後の滑走路へ進入する航空機を誘導するための無線施設(LDA:Localizer type Directional Aids:ローカライザー型方向援助施設)を東京都江東区青梅2丁目の地先に位置する中央防波堤外側埋立地に設置した。
その無線施設は,航空機に対し,電波を発射して適正な進入経路を導くものであるが,その電波反射面は凹凸のない平面が望ましい。しかし,中央防波堤外側埋立地は相当量の地盤沈下が予想され,地表面そのものを反射面とすることは難しいと考えられた。そこで,LDAの性能を安定して担保する必要最小限の電波反射面として,カウンターポイズと呼ばれる鋼構造物を建設した。
その平面寸法は85m×61m,鋼材重量は約490トンの大規模なものであった。
そのカウンターポイズの建設工事を当社が請け負い,製作・施工を行ったので、その概要として、カウンターポイズの構造・工場製作・現地建方について紹介する。
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- ■モニュメント型風力発電鉄塔「SMARK TOWER」の設計,製作および工事について(No.50)
- 概要
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近年の人間活動の拡大に伴って,二酸化炭素,メタン等の温室効果ガスが人為的に大量に大気中に排出されることで,地球が過度に温暖化する恐れが生じている。この温室効果ガスの排出を削減させるために,これまでの化石燃料から風力や太陽光といったクリーンエネルギーへの転換が着目されている。
このたび,東京建物株式会社殿は,群馬県伊勢崎市のショッピングモール「SMARK」内に,日本最大級のモニュメント型風力発電設備を建設した。
この風力発電設備には,株式会社シグナスエナジー社の直線翼垂直軸型風力発電機「シグナスミル」3台がツリー状のタワーに設置されている。
このタワーの基本計画は,ロサンゼルスオリンピックやタイムズスクエアーなどの環境デザインで世界的に有名な米国のデザイナーのフェルナンド・バスケス氏が行ったものである。
不特定多数のお客様が訪れるショッピングモールのモニュメント的構造物であることから,そのコンセプトは「風車が恒常的に稼動している風景を創る」ことにあり,その風車を支持するタワーは,同じく同氏によってデザインされた店舗建築物と調和しつつ,ショッピングモールのシンボルとしての役目もなすように計画されている。
この風力発電設備のうち鉄塔部分である「SMARK TOWER」の細部デザイン,実施設計および製作を行ったので,本報でその概要を紹介する。
なお,風力発電装置の製造元である株式会社シグナスエナジー殿のご協力のもと,現場での施工状況の概要も加えて紹介する。
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- ■シャープ堺浜スタンション ケーブル支持架台の据付工法について(No.50)
- 概要
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2007年11月に大阪府堺市の臨海部で着工した(株)シャープ殿の堺液晶パネル工場が2009年10月1日に稼働した。敷地内には現在薄膜太陽電池工場も建設中で2010年3月に稼働予定となっている。敷地面積は127ヘクタール(甲子園球場約32個分)で総投資額は約4300億円と発表されている巨大工場群である。
このシャープ堺工場のエネルギー棟から液晶工場間を結ぶ鉄骨スタンション(※1)工事において,6.6kV高圧ケーブルCVT325sq最大192条の大容量ケーブルを布設するためのケーブル支持架台(以下,鉄骨トレイと呼ぶ)を設置する必要があった。
この鉄骨トレイを設置するにあたり,必要な強度を満たした上で,鉄骨トレイを据付けるスタンション側との取り合い,建方工期,吊上げ重量およびケーブルの布設施工など様々な制約条件がある中で,検討段階から関係者間で協議を重ね,250tonを超える大規模な鉄骨トレイの設計・製作・施工を行い,客先が希望した納期までに完成させることができた。
この建方工事においては,鉄骨トレイの鉄骨スタンションへの据付けを迅速に行うために,鉄骨トレイを最大3ブロックの立体トラスで1ユニットに地組みし,その1ユニットを揚重して据付ける工法を採用した。
本報では,その鉄骨トレイの設計および製作の概要を述べるとともに,その据付工法について紹介する。
※1 スタンション:プラント相互を接続して水,ガス,電力などを供給するための設備。
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- ■基礎の不同変位に伴う鉄塔対策工事(No.49)
- 概要
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500kV送電用鋼管鉄塔に発生した基礎の不同変位に対して,主柱材3脚についてジャッキアップを行い,主柱材長さを調整することで垂直不同変位による付加応力の除去対策を行った。付加応力の除去対策を行ってもまだ強度不足となる部材については,強度を満たす部材に取り替えを行った。
なお,主柱材および腹材にひずみゲージを貼って,主柱材ジャッキアップによる部材応力の変化を確認することにより,不同変位による付加応力の大部分が除去されたことを確認した。
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- ■鋼管トラス通信鉄塔の主柱材補強工事について(No.48)
- 概要
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国土交通省 関東地方整備局 江戸川河川事務所殿の鋼管トラス通信鉄塔の主柱材補強工事で,主柱材にプレートを溶接して補強する工法が採用され,現地溶接,現地亜鉛溶射および現地塗装を行った。
弊社等は,この主柱材補強工事の製作および施工に携わったので,その概要を紹介する。
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- ■十和田・北上幹線 人が入れない鉄塔基礎の基礎材据付工事(No.47)
- 概要
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東北電力株式会社殿 500kV十和田・北上幹線新設工事の鉄塔基礎には,場所打一本杭基礎が採用されました。この場所打一本杭基礎は,入孔作業が困難な小口径鋼管内での基礎主脚材の据付工事となります。従来の入孔作業を必要とする基礎据付台(デンロ技報No.19(1994年),No.20(1995年)および25(1997年)で紹介)が適用できないため,入孔できない環境でも据付工事が容易にできる基礎据付台を開発しました。
特徴は以下の通りです。
- @ 従来の基礎据付台にガイド機能を追加することで,小口径の孔内に作業員が入孔することなく基礎主脚材の据付ができます。
- A 孔内で基礎据付台に基礎主脚材を接合する際のガイド材を設けているため,所定の位置へ従来の基礎据付台と同様の据付精度で接合する事が可能です。