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- ■H形鋼を用いた部材における溶融亜鉛めっき割れ対策に関する検討(No.59)
- 概要
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溶融亜鉛めっきによる割れは,構造形状,めっき作業条件,鋼材の成分,溶接時の残留応力等が相互に関連し合って発生すると考えられている。また,構造形状の中で,特にスカラップは割れが生じやすい部位として知られている。
そこで本稿では,実際の溶融亜鉛めっきの施工事例を基に,溶融亜鉛めっき時に割れが生じにくいスカラップの構造ディテールを検討した例を紹介する。検討では,数種類のスカラップ構造物について,鋼材の高温時の機械的性質を考慮した3次元FEMによる熱伝導−弾塑性熱応力連成解析によって,溶融亜鉛めっき時に発生する熱応力を推定し,溶融亜鉛めっき時に割れが生じにくいスカラップの構造ディテールを検討している。
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- ■鋼構造物のめっき時のひずみメカニズムとその抑止(No.55)
- 概要
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溶融亜鉛めっきは,部材の寸法,形状,構造などにより,事前に最適な溶融亜鉛めっき条件を選定しなければならない。そこで,コンピュータ解析によるシミュレーションを行うことで,最適な溶融亜鉛めっき条件を選定する手法を提案する。特に,本稿では以下の2例について紹介する。
- 1) 大型鋼I桁のような大型構造部材に溶融亜鉛めっきを行う場合,鋼部材内に発生する温度分布差が大きくなる傾向にあるため,熱変形も大きくなる可能性がある。その熱変形を,様々な浸漬方法別に弾塑性熱応力解析を用いて算出し,熱変形の防止対策を検討する。
- 2) 合成床版に用いる鋼板パネルに溶融亜鉛めっきを行う場合,鋼板内にどの程度の熱応力と熱変形とが発生するのか,また,その熱応力と熱変形とが鋼板の初期温度にどのように影響を受けるのかを解明するため,弾塑性熱応力解析を行い,その解析結果より熱応力を軽減させる対策を検討する。また,めっきによる鋼板の変位に関して,弾塑性熱応力解析結果と実測値との比較検討を行う。
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- ■最適化手法を用いた鋼構造物の溶融亜鉛めっき中のめっき割れおよび熱ひずみのメカニズム解明に関する研究(6)(No.54)
- 概要
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本報は前報デンロ技報No.53で掲載した「最適化手法を用いた鋼構造物の溶融亜鉛めっき中のめっき割れおよび熱ひずみのメカニズム解明に関する研究(5)」の続報である。
前報(No.53)では,溶融亜鉛めっき処理された山形鋼と鋼平板の溶接部の「めっき割れ」事例に基づき,鋼部材の溶融亜鉛浴面への浸漬方向に着目して,熱伝導解析および熱応力解析により「めっき割れ」のメカニズムを推定した。また,熱応力解析の結果,浸漬方向によって発生する熱応力を減少させる効果について紹介した。
本報では,溶融亜鉛めっき処理された鋼部材に発生した「めっき割れ」事例を取り上げ,大きさの異なる大小2つのスカラップを有する溶接H形鋼の鋼部材について,溶融亜鉛に浸漬する際の温度分布を,最適化手法によって求めた熱拡散率および熱伝達係数を用いて一次元熱伝導方程式から求める。次に,得られた温度分布を外力として三次元有限要素法により熱応力解析を行い,部分解析モデルに生じる熱応力分布を計算する。この2つの熱応力分布の結果を比較検討して,スカラップの大きさの違いによって発生する熱応力の違いについて紹介する。
また,これまでに紹介した「最適化手法を用いた鋼構造物の溶融亜鉛めっき中のめっき割れおよび熱ひずみのメカニズム解明に関する研究」のまとめとして,本研究で得られた結論を基に,「めっき割れ」や熱ひずみの発生を抑制する対策について示す。
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- ■最適化手法を用いた鋼構造物の溶融亜鉛めっき中のめっき割れおよび熱ひずみのメカニズム解明に関する研究(5)(No.53)
- 概要
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本報は,前報デンロ技報No.52に掲載した「最適化手法を用いた鋼構造物の溶融亜鉛めっき中のめっき割れおよび熱ひずみのメカニズム解明に関する研究(4)」の続報である。
前報(No.52)では,最適化手法により求めた最適熱拡散率と最適熱伝達係数を用いて,熱伝導解析により温度分布を求め,同技報No.50で紹介した中型溶接鋼平板モデル試験と鋼平板モデル試験で得られた実測結果と比較検討を行った。また,得られた温度分布から熱ひずみを求め,実測結果と比較検討した。更に,三次元有限要素法により熱応力分布を求め,発生する熱応力の状態を検討した。
本報では,溶融亜鉛めっき処理された鋼構造物に発生した山形鋼と鋼平板の溶接部「めっき割れ」事例に基づき,熱伝導解析および熱応力解析を行って「めっき割れ」のメカニズムを検討した。その結果,溶融亜鉛浴面への浸漬方向によって,発生する熱応力を減少させる効果があることが明らかになった。
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- ■最適化手法を用いた鋼構造物の溶融亜鉛めっき中のめっき割れおよび熱ひずみのメカニズム解明に関する研究(4)(No.52)
- 概要
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本報は,前報デンロ技報No.51で掲載した「最適化手法を用いた鋼構造物の溶融亜鉛めっき中のめっき割れおよび熱ひずみのメカニズム解明に関する研究(3)」の続報である。
前報(No.51)では,溶融亜鉛に浸漬する際に試験体モデル内に生じる温度分布を求めるために用いる一次元熱伝導解析の解析理論と,溶融亜鉛浸漬試験の実測温度を一次元熱伝導方程式で再現するために用いた最適化手法について紹介した。
本報では,最適化手法により求めた最適熱拡散率と最適熱伝達係数を用いて,熱伝導解析を行うことにより温度分布を求め,No.50で紹介した中型溶接鋼平板モデル試験と鋼平板モデル試験から得られた実測結果との比較検討を行う。また,得られた温度分布から求めた熱ひずみについても,実測結果との比較検討を行う。さらに,三次元有限要素法により熱応力分布を求め,発生する熱応力の状態について紹介する。
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- ■最適化手法を用いた鋼構造物の溶融亜鉛めっき中のめっき割れおよび熱ひずみのメカニズム解明に関する研究(3)(No.51)
- 概要
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本報は前報デンロ技報No.50で掲載した「最適化手法を用いた鋼構造物の溶融亜鉛めっき中のめっき割れおよび熱ひずみのメカニズム解明に関する研究(2)」の続報である。
本報では,前報で紹介した溶融亜鉛浸漬試験で得られた温度分布および熱ひずみを熱伝導解析および熱応力解析によって推定することを目的として研究した下記の理論や手法について紹介する。
- (1) 溶融亜鉛に浸漬する際に試験体モデル内に生じる温度分布を求めるために用いる一次元熱伝導解析の解析理論
- (2) 溶融亜鉛浸漬試験の実測温度を一次元熱伝導方程式で再現するために用いた最適化手法
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- ■最適化手法を用いた鋼構造物の溶融亜鉛めっき中のめっき割れおよび熱ひずみのメカニズム解明に関する研究(2)(No.50)
- 概要
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本報は前報で掲載した「最適化手法を用いた鋼構造物の溶融亜鉛めっき中のめっき割れおよび熱ひずみのメカニズム解明に関する研究(1)」の続報である。
溶融亜鉛めっき処理される鋼構造物に生じるめっき割れおよび熱ひずみのメカニズムを熱伝導解析および熱応力解析によって推定することを目的に,解析値と比較するデータを採取するため溶融亜鉛浸漬試験を行った。試験モデルとして,小型溶接鋼板モデル,中型溶接鋼板モデルおよび鋼平板モデルの3種類を作成した。
これらのモデルにおける温度分布や熱ひずみを実測した結果について紹介する。
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- ■最適化手法を用いた鋼構造物の溶融亜鉛めっき中のめっき割れおよび熱ひずみのメカニズム解明に関する研究(1)(No.49)
- 概要
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溶融亜鉛めっきは,鋼部材を約450℃前後の溶融亜鉛中へ浸漬させるため,急激な温度変化が与えられ,先に溶融亜鉛に浸漬する部分と後から浸漬する部分との間に温度差が生じ,鋼部材の内部に非定常熱応力が発生する。また,板厚の厚いものと薄いものを組み合わせた場合にも,板厚の違いにより温度差が発生する。溶接継手部が多く存在する場合には,この部材内での温度差が応力集中による大きな引張応力を発生させ,溶接の残留応力の影響とも合わせて溶接部のめっき割れ現象を引き起こす原因の一つとなる。
めっき割れの現象は,製品の寸法,形状,構造,溶接方法,残留応力,浸漬速度,液体金属脆化など種々の要因が,単独あるいは複合的に関連することによって発生すると考えられる。したがって,設計ディテール(板厚比の考慮,構造),鋼材の種類,浸漬方法などの適切な条件を選択することで,実用的にめっき割れを防止できるものと思われる。
本報では,著者等の研究成果をまとめた論文の中から,本研究の背景および目的や既往の研究,研究内容の総論と熱伝導解析および熱応力解析理論について述べている。各研究内容の詳細は,今後順次掲載する予定である。
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- ■送電鉄塔のボルトの緩み対策(No.48)
- 概要
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送電鉄塔のボルトは様々な要因により緩むことが考えられるため,ボルトの緩み・脱落防止対策が施されている。
ボルトの緩み・脱落防止対策には複数の方法があるため,緩みのメカニズムを調査するとともに,各種緩み防止金具を装着したモデルによる再現試験を実施し,有効な対策方法を検討した。
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- ■超微小硬さ試験機を用いためっき鋼材の力学的特性の研究(No.47)
- 概要
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鋼材に溶融亜鉛めっき処理した場合,通常の鋼材であれば力学的特性に影響を受けることは少ないが,一部の高張力鋼では座屈耐力が向上することが知られている。高張力鋼の座屈耐力が向上する理由として,溶融亜鉛めっき処理による熱処理の影響や硬さの変化などの複合的な要因があると考えられる。
本研究は,溶融亜鉛めっき処理した高張力鋼の力学的特性に影響を与える要因の一つとして,溶融亜鉛めっき処理時に鋼材表面に生成される鉄−亜鉛合金層(以下,合金層という)の硬さと働きについて着目した。これらを解明するために超微小硬さ試験機を用いて,軟鋼(SS400)と高張力鋼(STKT590・SM490)を基材として合金層の硬さを測定すると共に,軟鋼(SS400)と高張力鋼(SM490)の引張試験を行い,材料特性についてミクロおよびマクロの両面的な観点から考察を加えた結果以下の結論が得られた。
- ナノ硬度計による溶融亜鉛めっきの合金層断面,鋼材表面近傍断面およびその境界の硬さの測定結果から,溶融亜鉛めっき処理で形成される合金層よりも鋼材の方が硬く,境界部は合金層および鋼材より硬くなることが分かった。
- 材料引張試験の測定結果から,降伏応力と破断強度は溶融亜鉛めっき処理による加熱・冷却の影響により上昇することが分かった。