表面処理
 
■溶融亜鉛めっき材の一時防錆処理剤「パーレンE5174」の紹介(No.73)
概要

溶融亜鉛めっき処理された鋼材製品が,屋外で風雨に晒されると製品表面に「白さび」と呼ばれる腐食生成物が形成される。

この「白さび」は,金属光沢のある溶融亜鉛めっき面に対して大きく外観を損ねる要因となる。

そのため,溶融亜鉛めっき処理された鋼材は,建設等の鋼材部品設置施工前に鋼材表面に「白さび」が発生する事を防止し,施工後も「白さび」の発生を遅らせる事を目的とした一時防錆処理が施される場合がある。

一時防錆処理としては,六価クロムを含むクロメート処理が主流であったが,人体への悪影響や環境規制によりクロメート処理の代替が進められてきた。

今回無機系のクロムフリー薬剤としてパーレンE5174を開発したため,本稿で,パーレンE5174の特徴と性能を紹介する。

 
■溶融亜鉛めっき鉄筋の取扱いと耐久性照査について(No.71)
概要

2019年3月に土木学会は「亜鉛めっき鉄筋を用いるコンクリート構造物の設計・施工指針(案)」の改訂版1)を発刊しました。

本稿では,改定された指針(案)を基に実際に溶融亜鉛めっき鉄筋(以下「めっき鉄筋」と呼ぶ)を用いる上での取扱い方法および耐久性照査について紹介します。

なお,当社ではこれに先立ち2013年12月に一般財団法人日本建築センターの審査の受け,めっき鉄筋の評定を取得(認定番号:BCJ評定-SP0011-01),2014年7月に発行したデンロ技報 第59号では,「溶融亜鉛めっき鉄筋の紹介」と題し,めっき鉄筋の特徴や性能について紹介しております。

 本稿とあわせて読んでいただくことで,めっき鉄筋を防錆鉄筋の選択肢の一つとしてご検討いただければ幸いです。

 
■りん酸塩処理を施しためっき材と通常のめっき材の耐食性比較(No.69)
概要

鉄塔材の表面処理として,これまでは溶融亜鉛めっきが使用されていたが,鉄塔材の長寿命化を図るために,亜鉛−アルミ合金めっきや亜鉛めっき面の防食塗装が採用されるようになってきている。

亜鉛−アルミニウム合金めっきや防食塗装は大きな防錆効果が期待出来る一方で,処理のコストや施工期間の長さが課題となっている。これに対して,りん酸塩処理は従来から塗装の下地処理や環境調和(低光沢処理)を目的とした表面処理であり,防食を目的とするものとは考えられていない。しかし,りん酸塩処理は,設置後,長期間経過してもめっき被膜が残存していることから,りん酸塩処理が耐食性の向上に寄与しているのではないかと期待されるが,これまでりん酸塩処理による耐食性の向上についての調査はほとんど行われていない。

そこで,以下の表面処理3種類について複合サイクル試験を実施し,耐食性を比較した。本稿ではこの試験結果について紹介する。

  • @ 溶融亜鉛めっき
  • A 溶融亜鉛めっき+りん酸塩処理
  • B 溶融亜鉛めっき+りん酸塩処理+白錆防止処理
 
■過剰応力下低合金鋼での亜鉛ぜい化割れに及ぼす熱影響部組織と引張応力の影響(その2)(No.68)
概要

溶融亜鉛めっきを施した際に割れが起こらないとされる低合金鋼であっても,溶融亜鉛中で外力による過大な負荷がかかった場合は割れに至る。

前稿No.67では,供試材に溶融亜鉛環境下で応力を負荷した場合,金属組織(溶接部・母材)によって割れに至る機構がどのように異なるかを450℃で検討した。

本稿では,前稿と同様の供試材を用いて500℃で試験を行った結果について述べる。

 
■過剰応力下低合金鋼での亜鉛ぜい化割れに及ぼす熱影響部組織と引張応力の影響(No.67)
概要

溶融亜鉛めっきを施した際に割れが起こらないとされる低合金鋼であっても,溶融亜鉛中で外力による過大な負荷がかかった場合割れに至る。

本研究では,供試材に溶融亜鉛環境下で応力を負荷した場合,金属組織(溶接部・母材)によって割れに至る機構がどのように異なるかを検討した。

 
■コールドスプレー法による亜鉛皮膜形成技術と屋外暴露試験結果(No.66)
概要

鋼材の長寿命化のために防せい・防食技術は非常に重要である。最も一般的な方法は,腐食の要因となる反応物質と鋼材表面を遮断することであり,塗装,めっき,溶射などの表面処理による方法がある。これらの防せい・防食技術のひとつである溶射技術分野では,皮膜材料を溶かすことなく成膜できるコールドスプレー法が脚光を浴びている。皮膜材料として亜鉛の成膜も可能であり,例えば溶接施工後の補修技術として活用が期待できる。しかし,コールドスプレー法で純亜鉛皮膜を成膜して耐食性を評価した研究は,ほとんどない。

そこで本研究では,コールドスプレー法で純亜鉛を成膜して,その断面組織を電子顕微鏡で観察し,塩水噴霧試験および屋外暴露試験を実施して耐食性について検討を行った。さらに,試験後の試験片について,断面組織の顕微鏡観察や電解放出型エックス線マイクロアナライザー(FE-EPMA)を用いた分析を行ったので,この概要を紹介する。

 
■めっき抜き孔を有する鋼構造物の溶融亜鉛めっき割れ対策に関する解析的検討(その2)(No.66)
概要

前稿No.65では, 柱梁仕口部のめっき割れに着目し,柱梁仕口部を抜き出した実大部分モデルのH形鋼部材を対象とした。これらを3次元熱伝導解析および弾塑性熱応力解析によって,溶融亜鉛めっき時に部材内,特にめっき抜き孔近傍に発生する熱応力分布を推定し,割れが生じにくい孔径を検討した。その結果から以下のように述べた。

  • 1) 溶融亜鉛浸漬中において,各めっき抜き孔の端部からPL40側およびH形鋼フランジ側に大きな引張応力が発生しており,割れが発生する原因の一つと考えられる。
  • 2) めっき抜き孔径25mmでは割れが発生する可能性があり,孔径35mm程度まで大きくすることで割れの発生を低減できる。

本稿では,前稿で用いたH形鋼部材について,構造および溶融亜鉛めっき時のめっき作業条件を変更した状態を,3次元FEMによる熱伝導−弾塑性熱応力連成解析によって再現し,割れが生じにくい部材構造,およびめっき作業条件を検討した事例について紹介する。

 
■めっき抜き孔を有する鋼構造物の溶融亜鉛めっき割れ対策に関する解析的検討(その1)(No.65)
概要

前稿No.64では, めっき抜き孔を有するノンスカラップ工法による一般的な柱梁仕口部のめっき割れ対策について,数種類の実験体を用いた浸漬実験を行い,めっき割れが生じにくいめっき抜き孔の径および位置を検討した。その結果,めっき抜き孔の径を35mm,かつ溶接ビードと孔端との隙間を15 mmに設定することで,溶融亜鉛めっきによる割れの発生の可能性を大きく低減できると述べた。

本稿では,前稿で紹介した浸漬実験に用いためっき抜き孔を有するH形鋼部材を解析モデルとして,3次元非定常熱伝導解析および3次元弾塑性熱応力解析を実施し,溶融亜鉛浸漬時にH形鋼部材内,特にめっき抜き孔の近傍にどのような熱応力が生じるかを明らかにした。

 
■めっき抜き孔径および位置の違いによる鋼構造物の溶融亜鉛めっき割れ対策に関する実験的検討(No.64)
概要

溶融亜鉛めっきを行うことで発生する割れの原因は,部材寸法,形状,めっき作業条件,鋼材の成分,溶接方法,残留応力,液体金属脆化等が単独あるいは複合的に関連して発生すると考えられている。このように割れの原因は,種々考えられるが,ここでは部材形状に着目する。

一般的な柱梁仕口部に設けられたスカラップは,めっき割れが発生しやすい部位として知られている。この割れ対策としてJASS6(2007)では,めっき抜き孔径を35mmとして,孔から溶接ビードおよびH形鋼フィレットとのすき間を5mm以上設けたノンスカラップ工法が示されている。しかし実際に推奨値を適用した場合であっても割れが発生した事例がある。

そこで今回は,めっき抜き孔を有するノンスカラップ工法による一般的な柱梁仕口部の割れ対策について,数種類の実験体を用いた浸漬実験を行い,めっき割れが生じにくいめっき抜き孔の孔径および位置を検討した内容について紹介する。

 
■溶融亜鉛めっきに適用される白さび防止剤の性能比較試験(No.63)
概要

白さびとは,溶融亜鉛めっき直後の比較的新しいめっき表面に見られる,チョークの粉のような白色粉末の嵩張った亜鉛の酸化物をいう。JIS規格では,白さびを品質上の欠陥として扱っていないが,商品価値など外観上の問題から白さびの発生防止を要望されることがある。

白さび防止剤は数多くの市販品があり,工場設備や使用環境によって様々な白さび防止剤の適正を検討する必要がある。当社では各種白さび防止剤の耐白さび性を検証するため,塩水噴霧試験を実施して評価を行ったので,その内容を紹介する。

 
■柱梁接合部の溶融亜鉛めっき割れに関する検討(No.63)
概要

溶融亜鉛めっき割れは,構造形状,めっき作業条件,鋼材の成分,液体金属脆化,溶接時の残留応力等が相互に関連し合って発生すると考えられている。したがって,事前に構造ディテールやめっき作業条件について検討を行い,最適な条件を選択することで実用的にめっき割れを防止できるものと思われる。

本報ではこれまで,溶融亜鉛めっき割れに関する研究として,一般的な柱梁仕口部に設けられたスカラップのめっき割れに着目し,3次元FEM解析を用いた検討について数編紹介した。その中で,めっき割れ対策の一つとして,めっき抜き孔を有するノンスカラップを採用することでめっき割れの発生を低減できると述べた。

今回は,一般的な柱梁仕口部のめっき抜き孔を有するノンスカラップに着目し,溶融亜鉛浸漬実験および3次元熱伝導−熱応力連成解析を用いて以下の検討を行ったので紹介する。


  • @ 高温ひずみゲージを用いて,溶融亜鉛めっき時にめっき抜き孔近傍にはどのような熱ひずみが発生するのかを測定する。
  • A 溶融亜鉛めっき浸漬前において,部材内にはどのような残留ひずみが内在しているのかを切断法によって測定する。
  • B 3次元熱伝導−熱応力連成解析によって,溶融亜鉛めっき時のひずみ分布を再現する。
 
■新合金めっき鉄筋の開発(No.60)
概要

海洋や海岸の周辺のような塩化物イオン濃度が高い環境では,塩化物イオンがコンクリートに浸透して鉄筋が腐食し,コンクリート構造物の寿命が短くなることが問題となっている。

現状では鉄筋コンクリートの耐久性を高めるため,エポキシ樹脂塗装鉄筋や溶融亜鉛めっき鉄筋のような防錆鉄筋を用いられることがあるが,塩化物イオン濃度の高い環境では,防錆鉄筋の耐久性を十分に確保できない場合もある。

そこで,海洋構造物,沿岸部のコンクリート構造物の長寿命化,耐久性向上を目指し,高い耐食性をもつ溶融亜鉛−アルミニウム系合金めっき鉄筋(特許出願中 特開2013−221196)を開発した。

 
■溶融亜鉛めっき鉄筋の紹介(No.59)
概要

鉄筋コンクリート用棒鋼の表面に溶融亜鉛めっきを施したものを溶融亜鉛めっき鉄筋と呼びます。当社では,2013年12月に一般財団法人日本建築センターへ溶融亜鉛めっき鉄筋の評定を申し込み,審査の結果,内容が妥当であると認められ評定を受けました。(認定番号:BCJ評定-SP0011-01)

この溶融亜鉛めっき鉄筋の特徴について普通鉄筋やエポキシ樹脂塗装鉄筋と比較した結果や,その溶融亜鉛めっき鉄筋の性能確認試験結果等について紹介します。

これまで認知度が低かった溶融亜鉛めっき鉄筋を防錆鉄筋の一つの選択肢として,ご検討いただければ幸いです。

 
■鋼材と溶融亜鉛界面における化合物層の成長挙動に関する研究(No.58)
概要

本研究では不良の少ない高品質なめっき手法を確立することを最終目標とし,基礎データとしてめっきの亜鉛浴浸漬中の皮膜組織の変化を浸漬時間毎に観察し,金属間化合物層の成長の時間的プロセスを明らかにすることを試みた。

実験では,成分組成が明らかな鋼材を亜鉛浴へ所定の時間浸漬して試料を作製し,浸漬時間毎に得られた試料の光学顕微鏡観察およびX線マイクロアナライザー(EPMA)による組織観察および組成分析を行った。

 
■グリーン系干渉色の溶融亜鉛めっきの開発(No.57)
概要

溶融亜鉛めっきは,古くから安価でかつ効果的な鋼材の防錆処理として多方面で用いられている。溶融亜鉛めっきは防錆性能付与という点では優れるものの,使用環境によっては亜鉛特有の銀白色の光沢や,白さびと称する亜鉛の腐食生成物が周囲環境との色彩調和という点で問題となる場合がある。

溶融亜鉛めっきの白さび防止処理や,外観品質向上すなわち意匠性付与の目的では,クロメート処理が古くから使用されてきた。クロメート処理の中には,溶融亜鉛めっき上に着色処理ができるものがある。クロメート処理には主に6価クロムが使用されてきたが,6価クロムは環境にも人体にも有害であることが知られているため,代替技術が求められている。

そこで,本研究では6価クロムの代替品として環境負荷が小さく,毒性のない3価クロムを含んだ溶液を用いた化成処理について検討することを目的とした。従来使用されてきた6価クロムの意匠性付与としての着色処理を3価クロムで代替可能であるかという点について着目して検討,実験を行った。

溶融亜鉛めっきに対する着色処理としての3価クロムの利用と,それによる耐食性,耐侯性への影響について検討した結果,以下の結論が得られた。

  • (1) 3価クロムの溶液を用いて化成処理をした試験体は,有彩色が得られることが確認できた。また,化成処理時間を変化させることにより,青色,黄色,緑色などの異なる色が得られた。
  • (2) 化成処理皮膜の膜厚は,干渉色によって発色していると推定され,化成処理時間が長くなるほど,化成処理皮膜の膜厚が厚くなる傾向にあることが分かった。
  • (3) 化成処理をした試験体の耐食性(耐水性)は,未処理の溶融亜鉛めっき鋼板と比較して高いことが分かった。
  • (4) 化成処理をした試験体の耐侯性は,未処理の溶融亜鉛めっき鋼板と比較して高いことが分かった。
  • (5) 以上の結果から,干渉色を示す着色処理として,3価クロムを使用したものは6価クロムを使用したものの代替品になる可能性があることが分かった。
 
■塗料および塗膜の構成と乾燥のメカニズム(No.56)
概要

塗装は従来から用いられてきた表面処理技術であり,その用途は防錆・防食のみならず,意匠性の向上,周囲への景観の配慮,標識への利用など多岐にわたる。また,塗装単体では溶融亜鉛めっきなど他の防錆防食方法に比べて防錆防食性能は劣る傾向にあるが,施工性のよさから防錆防食方法の一手段として広く普及している。

本来,塗料が持つ防錆性能を十分に発揮するには,正しい知識を基に用途に応じた塗料を選定して適切な施工方法で塗装を施すことが肝要である。もし,塗料の選定や施工方法を誤れば,塗膜剥離・早期劣化・変色・ムラなどの不具合が生じて被塗物の長寿命化は期待できなくなり,現地での塗替え塗装などが必要となって補修のために多くのコストを要することになる。したがって,そのような事態を起こさないように,塗装に関しては,幅広い知識を習得した上で,塗料の選定や塗装時の施工管理を十分に注意して行うことが重要となる。

そこで,本稿では金属材料への塗装に関する知識の一つとして,塗料および塗膜の構成や乾燥のメカニズムなどについての概要を紹介する。

 
■めっき面への塗装と塗膜の劣化診断方法(No.54)
概要

塗装は古来より広く用いられてきた防錆防食法の一手段であり,その用途は防錆・防食のみならず,意匠性の向上,周囲の景観への配慮,標識など多岐にわたる。

また,塗装は木材,プラスチック,コンクリート,鉄など様々な材質に対して適用できる防錆防食法であり,溶融亜鉛めっきを施した鋼材にも適用できる。溶融亜鉛めっきを施した鋼材に塗装した場合,溶融亜鉛めっきと塗装との相乗効果で優れた防錆性能を発揮できる。しかし,溶融亜鉛めっき表面は滑らかであり,また,めっき皮膜に多く含まれる亜鉛は鉄と比べて活性が強い。このため,溶融亜鉛めっき面への塗装は,鉄素地面への塗装に比べて付着性に劣り,塗膜剥離や膨れなどの不具合が生じやすい傾向がある。これを理解せずに溶融亜鉛めっき面への塗装を行った場合,塗膜剥離が生じて,その補修に多くの時間と費用が必要になる。そのため,溶融亜鉛めっき面への塗装では,溶融亜鉛めっきおよび塗装に関する幅広い知識と,適切な施工管理が重要となる。

そこで,本稿では,溶融亜鉛めっき面への塗装についての正しい知識を身に付けることを目的として,基本的な塗膜の付着メカニズムと塗膜剥離要因について説明した上で,過去の塗膜剥離事例を取り上げて塗装時の注意点を示し,更には塗装後の塗膜の劣化診断方法を紹介する。

 
■鋼構造物の防錆防食方法(No.53)
概要

金属は我々の日常に欠かせない材料である。この金属材料に共通して発生する避けられない現象としてさびること,すなわち「腐食」がある。このため,金属材料を使用する場合,防錆防食のために何らかの対策や処理が施される。例えば,鋼構造物は厳しい環境下でも長い寿命を前提とした設計がなされており,設計,製作,建設,運用および保守の各段階において適切な対策が講じられてはじめて円滑な運営が可能になる。

本報では,主に鋼構造物に適用される防錆防食方法の種類と特徴について紹介する。また,耐食性能に優れ,経済的であるとして電力・通信・建築・土木など広い分野で採用されている溶融亜鉛めっきと他の防錆防食方法の比較も記載する。


■鋳物への溶融亜鉛めっき処理と不めっき部の断面分析結果(No.46)
概要
 鋳物とは,溶かした金属を型に流し込み,冷えて固まった後,型から取り出した金属製品である。その中で,炭素および珪素を主成分とした鉄−炭素系合金は鋳鉄と呼ばれている。
 複雑な形状のものでも比較的安価で製造できることから,さまざまな分野で使用されている。その中で球状黒鉛鋳鉄(FCD450)が橋梁の高欄材などに主に使用されている。
 近年,この高欄材の耐食性を向上させるため,鋳鉄を溶融亜鉛めっきする「鋳物溶融亜鉛めっき」の需要が増加している。ところが稀に溶融亜鉛めっきを行うと,亜鉛が付着しない部分がある。
 そこで,亜鉛付着部と不めっき部の表面付近の断面分析を行い,不めっきになる原因を明らかにする。


■溶融亜鉛めっき鉄筋について(No.43)
概要
 近年,半永久的と考えられてきたコンクリート構造物の劣化が問題となっている。  この原因はコンクリート用細骨材に海砂を使用したり,海岸地域の過酷な環境に曝されることにより塩害等でコンクリート内の  鉄筋が錆びやすくなるためと考えられている。塩分はコンクリート外面からも徐々に浸透するため,大気中の塩分濃度の高い地域  (海岸地域)では,10数年経過するとコンクリート内の鉄筋表面にまで塩分が到達している場合もある。
 鉄筋が錆びると鉄筋の体積が膨張し,結果的にコンクリートにひび割れを発生させ,コンクリートの破壊に繋がる可能性がある。  このようなコンクリート内での鉄筋の腐食対策として溶融亜鉛めっき鉄筋が有効である。
 本文では,溶融亜鉛めっき鉄筋の耐食性やコンクリートとの密着性,エポキシ鉄筋との比較を述べる。


■溶融亜鉛めっきによる歪の対策方法について(No.42)
概要
 防錆処理の一つの方法である溶融亜鉛めっきは,優れた耐食性と経済性を持っている。この溶融亜鉛めっきは鋼部材を440〜450℃の溶融亜鉛中に浸漬し,鉄−亜鉛の合金層を形成することで,鉄を腐食から守る。
 溶融亜鉛に鋼部材を浸漬することで,溶接構造のような複雑な形状の構造物や鋼管の内面など,構造物全体に亜鉛を付着させることができる。
 しかし,構造物の設計や製作段階で溶融亜鉛めっきに対する配慮が足らないと,その寸法や形状等によっては品質や作業の安全性に大きな影響を及ぼす。これらの問題点を解決するための基本構造については,デンロ技報No.40「溶融亜鉛めっきの特徴を生かした鋼構造物の設計・構造」で既に述べているが,本稿では,特に注意が必要なポイントを確認しながら,不具合の発生事例を示すとともに歪みや変形への対策を示す。


■めっき浴成分の分析方法の紹介(No.41)
概要
 溶融亜鉛めっき浴内に溶融している化学成分は,溶融亜鉛めっきの品質に様々な影響を与えると考えられる。めっき品質のばらつきを出来るだけ抑えるためには,めっき浴成分をほぼ一定の状態に管理することが重要になる。この管理手法の一つとして,めっき浴成分の分析が最も一般的な方法である。
 本稿では,めっき浴成分の分析手法として原子吸光分析の概要と共に,分析方法について紹介する。


■亜鉛めっき浴中へのニッケル(Ni)添加の効果(No.40)
概要
 溶融亜鉛めっきされる鋼材の多くは,ケイ素(Si)を含んでいます。一定量以上のSiが含まれていると,鉄と亜鉛(Fe-Zn)の合金反応が活発になり亜鉛付着量を過剰に増加させます。また,やけを生じたり,著しい場合は鋼材との密着性を低下させ,めっき皮膜が剥離することがあります。
 このような問題を解決する方法の一つとして溶融亜鉛めっき浴にニッケル(Ni)を添加する方法があります。その概要と具体的な効果について紹介します。


■金属溶射(No.39)
概要
 「溶射」とは,燃料−酸素の燃焼,電気エネルギーなどによる熱源を用いて溶射材料を加熱し,溶融またはそれに近い状態にした粒子を基材表面に吹き付けて被膜を形成する表面改質法です。
 溶射は金属,金属酸化物(セラミックス),サーメットおよびプラスチックなど各種の高機能材料を短時間に基材表面の大面積に被覆できる利点があるため,防食,耐摩耗,耐熱および絶縁などの目的で各産業に応用されています。
 本稿では,溶射法の概要と鉄塔などの鋼構造物の防錆対策として用いられる金属溶射の特徴について紹介します。



■低明度処理法の開発(No.30)
概要
 近年、溶融亜鉛めっき鋼には、周辺環境と調和させるため着色処理を施す事例が増加する傾向にある。 一般的な着色処理方法は、りん酸塩処理法であるがこの方法で着色した皮膜は、処理工程時に使用した 薬品によって、白錆が発生するという問題がある。
 そこで弊社では、りん酸塩処理法を基本として、これまでの処理液、処理工程等とは違う新たな低明 度処理法を開発した。さらに低明度処理を行った鋼材に塩水噴霧試験、暴露試験を行い、白錆の発生が 抑制されていることを確認した。



■リン酸塩処理について(No.21)
概要
 溶融亜鉛めっきの金属光沢をおさえ、自然環境との調和という観点から亜鉛めっきの表面を低光沢処理 する鉄塔、鉄構が目立ってきました。
 低光沢処理する方法は、酸又はアルカリによる方法やクロム酸処理、たんにん酸処理などもありますが 最も一般的でかつ確実な方法としてりん酸塩処理があります。
 今回はこのりん酸塩処理の特徴、処理工程等りん酸塩処理の全般について紹介します。



■溶融亜鉛めっきについて(No.20)
概要
 鉄塔の腐食を防止することは、安全性の確保並びに省資源、省エネルギーという観点から非常に重要と 思われる。鉄をさびから守るための防錆防食法は多岐にわたっているが、亜鉛の特性を利用して腐食を防 ぐ方法は有効な手段の1つであり、その方法のなかでも溶融亜鉛めっきにより鉄鋼の表面に亜鉛皮膜を形 成する方法が経済的で、確実に長期にわたりさびを防ぐことが知られている。
 ここに、鉄塔における溶融亜鉛めっきについて紹介する。