地震
 
■東日本大震災の概要(No.53)
概要

平成23年3月11日14時46分に宮城県牡鹿半島沖を震源とする国内観測史上最大となるM9.0(暫定値)の巨大地震が発生し,宮城県栗原市で震度7,宮城県,福島県,茨城県,栃木県の4県28市町村で震度6強が観測された。

「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」と命名された今回の地震は,東北地方の太平洋沿岸部を中心に壊滅的な被害をもたらした。今回の地震による被害は,地震の揺れによる直接的な被害として建物の崩壊や液状化現象,地盤沈下などが発生し,更に,ライフラインが寸断されるなどの被害も発生した。しかし,それよりも地震に伴い発生した巨大な津波による被害の方が大きく,建築物の損壊だけでなく、多くの死者・行方不明者を出した。

政府は,東北地方太平洋沖地震とそれに伴って発生した津波などにより引き起こされた大規模地震災害の名称を「東日本大震災」とすることを発表し,震災からの早期復旧・復興に向けた様々な取り組みを検討・実施している。

本報では,東日本大震災に関して,各省庁および研究機関などから発表された資料を基に,現時点で判明している東日本大震災の概要について説明する。


■鉄塔の耐震診断(3)(No.43)
概要
 平成16年から17年にかけて,日本各地で地震,台風,集中豪雨などの自然災害が数多く発生した。
 これを受けて国土交通省では,国民が生活を行う上で大前提となる安全の確保を推進している。
 その中で地震については,平成7年の兵庫県南部地震以降に制定した「建築物の耐震改修の促進に関する法律(耐震改修促進法)」に基づき,耐震診断・改修を促進している。
 そこで,前々号では鉄塔の耐震診断の概要として,関係法規や規準,耐震診断の実施状況や耐震診断で考慮する地震レベルについて説明し,さらに前号では,鉄塔の耐震診断の必要性および耐震診断の流れについて説明した。
 本号では耐震診断に使用する地震波について紹介する。



■鉄塔の耐震診断(2)(No.42)
概要
 近年の大地震の発生と,これから予想される大地震に対応するため,国土交通省は平成17年度の重要項目として耐震診断の促進を掲げている。
 それを受けて,前号では耐震診断の概要として,関係法規や規準,耐震診断の実施状況や耐震診断で考慮する地震レベルなどについて説明した。
 本号では,鉄塔の耐震診断の必要性および耐震診断の流れについて説明する。
 耐震診断の必要性については,一般的な鉄塔モデルについて,新・旧耐震基準別の地震力を算出し比較を行う。
 耐震診断の流れについては,耐震診断の手順をフローチャートで示すとともに,具体的な改修例を示す。


■鉄塔の耐震診断(1)(No.41)
概要
 平成16年は新潟県中越地震やスマトラ島沖地震などの自然災害が多く発生した。また,比較的地震が少なくあまり注目されていなかった九州北部に,平成17年に入って福岡県西方沖地震が発生して甚大な被害をもたらした。
 平成7年に発生した兵庫県南部地震以降,国は「建築物の耐震改修の促進に関する法律」を制定し,既存住宅・建築物の耐震性の向上を目指すこととした。しかし,既存建築物の耐震検討および改修が思うように進んでいなかったところに,昨年,新潟県中越地震が発生した。そこで,国土交通省では建築物の耐震性の向上を目指すための耐震診断や耐震改修を促進することを重要項目に掲げ,そのための補助制度を導入・拡大することとした。
 昭和43年の十勝沖地震や,昭和50年の大分地震などの被害から,昭和56年以降の建築基準法の地震荷重は地盤と構造物相互の振動特性を考慮した修正震度法によって算出するようになっている。しかし,それ以前のものは建物の振動特性を考慮していない震度法で検討を行っていたり,地震検討を行っていなかったりする。最近の大地震である兵庫県南部地震や新潟県中越地震でも,十勝沖地震や大分地震と同様,昭和56年以前の建築物に被害が集中した。
 鉄塔も社会的インフラを構成する重要な構造物のひとつであり,さらに,災害発生時に情報伝達するための無線通信アンテナを支持する役目を果たすべく,被害を最小限にとどめる必要がある。
 そこで,本号では耐震診断の概要について説明し,次号では特に鉄塔に的を絞り,耐震診断の方法や補強方法などを説明する。



■地震荷重(No.38)
概要
 1995年1月17日午前5時46分阪神・淡路地方を襲った兵庫県南部地震は,6,400人余りの犠牲者および10兆円を超すとも言われる物的被害をもたらした。
 この兵庫県南部地震では,1981年施行の新耐震設計法によって設計された建築物の被害は比較的少なく,それ以前に設計された建築物の被害が大きかった。これより,新耐震設計法の妥当性がある程度証明され,建築物がどれ位の地震でどのようになるかという耐震性能を認識する必要があることが判ったため,1998年に建築基準法が改正されて性能規定化への移行が行われた。
 構造物や建築物を創ることにより,人々の生活を守り育てることが究極の使命である我々にとって,今回の大震災による被害を厳粛に受けとめ,貴重な教訓とすることが必要である。
 本報では,耐震基準と地震荷重の変遷ならびに耐震設計の流れについて整理し,耐震設計の地震荷重について基本的な考え方を説明する。



■鉄塔の耐震設計について(No.33)
概要
 平成7年1月17日に発生した兵庫県南部地震は,大都市地域を直撃し,死者6400余名,負傷者43000余 名,被災建築物総数約50万棟という戦後最大規模の災害をもたらした。
 最も被害が集中した地域では,新耐震設計法(1981年施行)以前に建設された建築物のうち3割を超 えるものが倒壊,大破という甚大な被害を受けた。
 最近でも,中国地方や四国地方でマグニチュード7前後の大規模な地震が起こり,建築物に被害があ った。
 一方,通信鉄塔や送電用鉄塔では,これらの地震による倒壊はないものの,大変形や部材・ボルトの 破断など少なからぬ被害を受けた。
 建築基準法に基づき設計される通信用鉄塔では,1981年の新耐震設計法の施行に伴い鉄塔の固有周期 や振動特性も加味して耐震設計の考え方が見直されている。しかし,それ以前に建設された鉄塔につい ては,十分な耐震設計が施されていないものもあるため,兵庫県南部地震の後,これらの鉄塔について、 地震に対する安全性の確認が必要となり,全国規模で耐震診断が実施されている。本報では,通信用鉄 塔の耐震診断方法について述べる。



■鉄塔耐震診断・補強事例(No.30)
概要
 鉄塔の耐震対策に関して、関西支店における耐震診断・補強工事の取り組み状況、補強工事における 制震装置等の適用事例を紹介します。



■阪神大震災を踏えた送電鉄塔および無線鉄塔の耐震診断に関する報告(No.21)
概要
 平成7年1月17日午前5時46分ごろに発生した兵庫県南部地震は、大都市を襲った直下型地震で、 建物ばかりでなく送電鉄塔や無線鉄塔のような塔状鋼構造物にも損壊をもたらした。
 幸い送電鉄塔や無線鉄塔は、各方面の迅速な対応により早期に復旧が完了したが、今回の地震は今まで 想定したことのない激しい地震であったため、東北、関東、東海地方をはじめとする各地域の関係先から、 既設鉄塔の耐震性や激震時の鉄塔の挙動に関する問合せが相次いだ。
 そこで、当社では送電鉄塔や無線鉄塔の震災状況を独自に調査し、その結果から今後鉄塔の耐震性を検 討する場合に加味した方がよいと思われる次の項目を洗い出し、立体解析や応答解析等のコンピュータシ ミュレーションによる研究を行ったのでその内容を記す。
 くわえてこれらの研究結果を加味して、現行耐震設計方法に基づいた送電鉄塔および無線鉄塔の耐震診 断方法の私案を紹介する。
  1)上下方向の地震動が鉄塔に与える影響
  2)衝撃的に地震力が鉄塔に加わったときの応力挙動
  3)不同変位が鉄塔に与える影響
  4)鉄塔の接合部を含めた保有耐力の評価方法